平成27年9月13日
森の駅推進協議会 代表幹事 岡本守生
前回に引き続いて。
現在は、生活者・市民が、一般的に、木の香りがする調湿作用がある国産材木材に関心を持つと言ったような社会ではありません。
何故なら、日本の住宅産業界は、世界に類がないと言われるほどの巨大な産業で、その産業界は産官学で共につくり上げたものです。
産業である以上、
耐震性強化で安心を与えるように、
効率の良い暖冷房で快適であるように、
クレームが起こらないように、
とあらゆる智恵と工夫をして、神話をつくってきました。
見方を変えますと電力業界よりも強力かもしれません。材木しかり、部材しかり、法令しかり、研究しかり、です。
例えば、部材の安全の4スター制ですが、換気扇の設置の義務付けで、成り立っているように言われています。
換気のように見えますが、4スターの建築部材から発生する揮発性の有害物質の排気の為に義務付けている、とも言われています(例えば、香りのある木材を使用して、健康な住宅を建てた場合、この換気扇は何の役目をするのでしょうか)。
これ等の住宅メーカーや部品メーカーの生い立ちを見ますと、多量生産、多量消費の先頭に立っていた化学会社や電器会社が母体になっている会社が多いようです。
驚くほど上手につくられた木材もどきや化学製品で成り立っているモデル住宅をみますと、何となく頷けます。
それらを、住宅に組み込むことによって、親孝行をしているのでしょう。
もう一つ、重大なこと。使用木材の含水率を15%以下にしたことです。
多くの建築会社は、法令で含水率15%以下の木材を指定せざる得なくなり、前項の高温乾燥材を使用するようになりました。
そして、外国産材の天下になりました。
自然乾燥材でも平衡含水率が15%になる、と言う説もありますが、伝統建築に携わった多くの製材所は困難だと言っています。
どうも、住宅産業界が、正当性をもたらす為に、自らの都合の良いように押し進めたきらいがあります。
含水率の平均化で、木材のゆがみ、歪みが無く、クレームを免れているからです。
かくして、自然・低温乾燥材を主体とした建築が少なくなり、と言うよりも出来なくなり、住宅産業界が、我が世を謳歌するようになったのです。
同時に、木造建築から「健康の概念」を破棄したのです。
これは、国民全体の健康から見ますと、大きな犯罪です。
戦後の住宅事情を考えますと、産官学で、こうした産業を育てる必要があったのは分かりますが、その住宅産業界は「健康の概念」を破棄して、住宅の標準化を進め、住宅金融を味方に、短期間で完成の住宅の新たな常識をつくりました。
こうした社会をオカシイと思わない歪な社会にしました。
このような不可思議こそが、住宅産業界の神話なのです。
こうした神話の形成には、電力界と同様に、腑に落ちないエゴの匂いを覚えます。
含水率15%以下の木材使用を、最後に決めたのは旧建設省でしょうが、推進したのは何処の誰々なのか。
先ずは、この謎解きの出来る方はいませんか。
募集中です。