メルマガ171

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森の駅発メルマガ No.171
2023 November 霜月 よく知られた「霜降月」の略の他に前月の神(カミ)に対しシモとする説もあります。
11月08日 立冬(りっとう)旧暦ではここから冬が始まります。日の短さを覚え始め山国や北国では初雪が降ります。
11月22日 小雪(しょうせつ)降る雪はまだ少ない意味ですが、冷え込みが厳しくなり、落ち葉の季節でもあります。
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目 次
・山小屋通信「秋の作品展への出展」大森 明
・美術コラム「吉田博の『秋之銀杏』」戸田 吉彦
・開発製品の紹介「森の恵 : 耐震健康シェルター 命守」市川 皓一

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山小屋通信「秋の作品展への出展」大森 明(森の駅発メルマガ編集・発行)


先日、地域で開催された秋の作品展に、最近描いた絵を自作の木製額縁に収めて出展した。
この作品展は地域住民有志が開催し、作品出展者も地域住民の方々だ。
会場設営・運営も自分たちで行い、手作り感たっぷりで、いつも結構盛り上がる。
ただ昨年までコロナ禍で開催が見送られ、今年は数年ぶりの開催となった。
数年ぶりのため張り切って3点出展した。我が作品の特徴は絵も額縁も自作であること。
木製額縁3点のうち1つは栗の木の床材端材で作ったもので、あと2つは新品の杉角材をエッジ
装飾加工して作った木製額縁だが、塗料を変え違う色合いにした。色を変えるだけでだいぶ感じ
が変わる。この木製額縁3点にそれぞれ、花の咲いた樹の絵を収めて出展した。
収めた絵はフヨウの絵1枚、色違いのムクゲの絵2枚。白花のムクゲの絵は、当メルマガ9月号に
掲載したもので、他の2点は今回がお披露目の絵だ。
花の中心部に濃い赤色が入ったムクゲの絵だけは画用紙でなく、壁紙端材に描いた絵で、壁紙の
凸凹のせいで面白いタッチの絵になった。
なお、床材端材や壁紙端材を使うのは、見た目の効果だけでなく、廃棄物削減(地球環境問題)
のメッセージでもある。
ところで絵のレベルはともかく、3点も出展する人は他にいないだろうと思っていたら、大きめの
精密画を5点も出展した強者がいて恐れ入った。
いずれにせよ地域住民との交流も図れて有意義な作品展だった。

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美術コラム「吉田博の『秋之銀杏』」戸田 吉彦(一般社団法人日本美術アカデミー理事)


吉田 博「庭四題」から「秋之銀杏」1929 木版画 37.4 × 16.2cm 左:部分 右:全体 「吉田博全木版画集」より

 美術館に足繁く通うと、そこは研究最前線にいる美術館長や学芸員の研究の場であり、各館の
趣旨や視点の違いが面白くなります。先月紹介した『酒井抱一と江戸琳派』展を開催した千葉市
美術館は初代の辻惟雄館長から小林忠館長、河合正朝館長と日本美術史の有名な先生方が続き、
他館が常に動向を気にしていました。7年前の『生誕140年吉田博展』も、その後MOA美術館、
一昨年の東京都美術館『没後70年吉田博展』と続き、吉田博(1876-1950)の名を目にする機会が
最近増えました。その昔『吉田博全木版画集』(1987 阿部出版)が出た時は菅井汲や池田満寿夫ら
現代版画の全盛期で、一時忘れられていましたので意外な気がしました。出版は前年初来日した
故ダイアナ英皇太子妃が吉田博のファンだった影響でしょう、掲載作品259点全てが木版画です。
一方、千葉市美術館『生誕140年吉田博展』は、画家を志す十代の頃から水彩画、油絵、海外の
風景版画と網羅した作家の「全画業」を通暁する内容でした。今月ご紹介の、中里(現東京都北区)
の自宅の庭を描く『秋之銀杏』は、久留米から上京し晩年まで東京に住みながら、東京の風景を
描かなかった博の珍しい一枚です。有名な下落合(新宿区)の洋館に住む前です。秋が深まる中、
犬の相手をする少年を見る画家の暖かい眼差しが伝わります。画中の縦長の「銀杏(イチョウ)」
の樹は枝を横に張る前の姿ですから、まだ若木の「銀杏」の姿です。
「銀杏(ぎんなん)踏みて 靜に児(しずかにちご)の 下山かな」与謝蕪村(1716-1784)

太古の植物「イチョウ(銀杏)」と、近代黎明期だった日本の国際デビュー
 今年は植物学者の牧野冨太郎がモデルの、NHK 朝の連続ドラマ「らんまん」が話題となり、
好評裡に最終回を迎える頃「イチョウ」に関する偉業も登場しましたが、すぐ経済情報サイトの
JBpress でも3回に渡る記事で詳細に紹介され、現代人の心に響いた内容だったのでしょう。
ご存知の方も多いので詳細は省きますが、牧野が勤務する帝国大学(現・東京大学)植物学教室で、
平瀬作五郎助手が「イチョウ」に精子を発見し(1896・明治29)、世界が驚いた近代科学黎明期の
日本の輝かしい業績です。件の「イチョウ」は植物学教室跡の小石川植物園に今もあり、2019年
6月の野外勉強会で桜井尚武先生から、助手には前例がない学士院恩賜賞が平瀬に授与され、平瀬
を指導した池野助教授が平瀬の功績としたことも伺いました(池野は牧野とソテツに精子を発見)。
その日のレポートは大森氏が当メルマガに翌月寄稿しています。「イチョウ」は2億年以上前に
地上に現れ、恐竜絶滅期を越え中生代まで世界中に繁茂した樹木で、中国に現存1種を残し全滅。
古代日本に渡り、日本に来た西欧の植物学者から欧米に知られるようになり、現在ヨーロッパの
景色を彩る「イチョウ」も江戸時代に日本から渡った子孫と言われます。英国キューガーデンに
は18世紀から続く「イチョウ」の木があり、そこで研究されておられたピーター・クレイン氏が
記した『イチョウ 奇跡の2億年史』は日本でも出版(河出書房新社・2021)されています。
「不二(ふじ)一つ おさえて高き 銀杏(いちょう)哉(かな)」正岡子規(1867-1902)

伝統工芸の意匠から、国際化を目指す明治を象徴する樹木へ
 樹木は、松、杉、桜など昔から漢字で書くのが一般的ですが、植物学は全てカタカナ表記です。
「イチョウ」には「銀杏」の他「公孫樹」や「鴨脚樹」の漢字名がありますが全て中国発祥です。
種子(実では有りません)は「ギンナン」と読み、また同じ漢字名が日中で違う植物もあり、日本で
生まれた独自の漢字もあり、分類整理にはカタカナが良いのです。しかし漢字名にも良さがあり
「公孫樹」は孫も「ギンナン」を採る長寿の樹、「鴨脚樹」は鴨の脚に似た葉、「銀杏」は銀色
の杏形の種の意味です。「鴨脚樹」の発音の「ヤーチャオ」が日本語の「イチョウ」となった説
も含め漢字の影響力を感じます。日本語ほど複雑でない英語も同じく、牛の Bullや Ox、Cow を
食用肉は Beef、豚は PigとPorkを使い分けているように、千年前のフランスの影響が今も英語に
残ります。「イチョウ」の学名「Ginkgo」も悩ましい由来があり、1690年来日のドイツ人医師
ケンペル(1651-1716)が「銀杏」の音読み「ギンキョウ」を記す際のスペルミスと言われ、その
影響は英語を始め各国の綴りに及びます。しかし「イチョウ」は西欧で好意的に迎えられ、葉柄
の元が繋がる形をドイツの詩人ゲーテは愛の象徴と讃えました。ドイツ留学の経験がある森鴎外
(1862-1922)が住む観潮楼の庭には「銀杏」の巨木があり、与謝野鉄幹や石川啄木と歌会を開い
ていたそうです。有名な女流歌人の与謝野晶子(1878-1942)の歌「金色(こんじき)の 小さな鳥の
かたちして 銀杏(イチョウ)散るなり夕日の丘に」(1905)を思い出される方も多いでしょう。
また関東で育った人々は、遠足で行く鎌倉は鶴岡八幡宮の「大銀杏」をご存知のはずです。鎌倉
幕府最後の将軍、源実朝を暗殺(1219)する公暁が身を隠していた伝説から別名「隠れ銀杏」と
伝わり、訪れた子はその歴史を教えられますが、残念ながら2010年3月に強風で倒れました。
昔から「銀杏」の葉の形と色は工芸で好まれ、今年の「日本伝統工芸展」にも「銀杏」の黄葉
散る着物が出展されており、漆器の意匠でもよく登場します。日常生活も刃物の「イチョウ刄」
や料理の「銀杏切り」、日本髪の「銀杏崩し」や「銀杏返し」、大相撲の髷(まげ)の「大銀杏」
に名前を残しています。しかし絵となると黄葉は描かれても樹木を描くことはまれになり、春は
桜、秋は紅葉と和歌に謳われる景色を取り上げるのが常でした。食物や道具を歌や絵にすること
は雅(みやび)でなかったのです。その「銀杏」も江戸中期から「柿」と同様俳句に現れ、さらに
明治植物学の快挙以降は、前述のように和歌にも絵にも登場します。むしろ好まれたというべき
でしょう。植樹の面では水気を多く含み火に強いので、寺社の境内には樹齢数百年の「銀杏」の
大木がありますが、それ以外で植えることは稀で江戸時代の街道並木も松や杉ですから、最初の
「銀杏並木」は日本初の西洋式街路となる横浜の日本大通りなのです(H.R.ブラントン設計 1879)。
最近は明治神宮外苑の絵画館前「銀杏並木』一帯の再開発に、今後の景観に対する不安から反対
署名運動が起き、欧米からも注目されています。しかし、そもそも明治神宮外苑絵画館は明治の
偉業を後世に伝えるために作られ、正門前に日本の最初の偉業を象徴する「イチョウ」が並ぶ姿
は、帝大(現・東京大学)安田講堂前「銀杏並木」(小石川植物園設計 1897)、東京駅正面口と皇居を
結ぶ御幸通りの「銀杏並木」、赤坂迎賓館前の「銀杏並木」同様、明治に始まり今に続く日本の
近代国家建設を示す威厳ですから、今後については国の意向が示されるべきだと思います。
「しぐれつゝ 留守もる神の 銀杏(いちょう)かな」高浜 虚子(1874-1959)

戦前から海外で活躍、戦後は日米親善に努めた吉田博の国際性
 吉田博もまた明治の気骨の人でした。川瀬巴水(1883-1957)と同じ渡辺庄三郎(1885-1962)
の「新版画」から版画家デビュー、写実的で叙情的な風景画が得意な点も巴水と似ていますが、
浮世絵を学び日本の叙情を愛した巴水と対象的に、洋画を学ぶと23歳で渡米しボストン美術館で
個展を開き、欧州も巡りその後何度も渡航しました。戦後自宅が接収対象になると、自らGHQに
出向きアトリエがいかに大切かを英語で説いて取り戻します。マッカーサーがヨシダの家はどこ
かと尋ねた噂がありますが、夫人が吉田を訪問し(1945)米将兵の家族の見学バスツアーが始まり
芸術サロンとなったのは事実で、吉田博の戦前の知名度と、海外で鍛えた語学力を物語ります。
関東大震災(1923)では版木が全焼し、以後版元を離れ彫師と摺師を呼び、彫りも摺りも体験し、
その上で指示する制作に変わります。これを画家が版を彫る創作版画の影響との説を見ますが、
時代から見て、近代デザインの父、画家ウィリアム・モリス(1834-1896)が私設印刷所を作り、
複製芸術(芸術と工業の理想的結合)に取り組む姿勢に共鳴したのではないかと思います。海外美術を
早くから知る故ですが、アトリエを工房と言い換える、画家には珍しい言動もあったそうです。
「久方の 天を一樹に 仰ぎ見る 銀杏の實ぬらし 秋雨ぞふる」(明治40年)長塚 節(1879-1915)


酒井抱一「四季花鳥図巻」(部分) 1818 絹本著色 / 川瀬巴水「鶴岡八幡宮」1931 木版画 / 笠松紫浪「公孫樹」1965 木版画
参考文献:生誕140年 吉田博展図録 毎日新聞社発行 2016/吉田博全木版画集 阿部出版 1987/国土技術政策総合研究所資料 TECHNICAL NOTE of
National Institute for land and Infrastructure Management No.433 March 2008 景観デザイン規範事例集

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開発製品「森の恵🌲耐震健康シェルター 命守」市川 皓一(一級建築士)
S様(都内豊島区目白)は「全国自治体 補助助成金制度」を利用して、ご自宅内に「命守」を
設置されました。香り良く寝心地が抜群で、地震も怖くないと御祖父様(93歳)に好評です。
◆ S邸の「命守いのちもり」施工の様子が Youtube(動画)でご覧頂けます。
▶︎ https:youtu.be/wiaTwsv4iiM

耐震健康シェルター「命守」は、青森県銘木青森ヒバの住宅設計に長年携わり木造に精通した、
当会幹事・市川の企画・設計による「個室タイプの耐震製品」です。
メルマガ読者対象特別価格 80万円 (杉材使用・加工済み部材部品価格・税別)
施工費はご要望確認の上、明細お見積り致します(一般的参考総額 上記部材費込み約150万円)。
設置面責は、通常の木造住宅内で約「3.2帖」です。
ご用命・ご相談 090-3229-5678 市川(青ヒバの会・市川総合設計室)

◆ 様々なオーダーメイドに対応出来ます。
・平時はリモートワーク・オフィスに使用したい→扉にセキュリティ用の施錠を付けることが出来ます。
・平時はオーディオルーム・楽器演奏室に使用→遮音のための防音・防振対策を施すことをお勧めします。
・平時は自宅介護室に使用→上下水道の必要性から便器・洗面用の配管と防水二重床をお勧めします。
・平時はガーデンルームに使用→防水外壁+屋根と、採光窓をペアガラスの屋外仕様に出来ます。
*気密性が高まる場合は、換気装備を設け、室内を静圧に保ちます。

◆ 耐震健康シェルター『命守』好評の3大理由。
1. 森の駅推進協議会 健康住宅研究会開発の「信頼」設計。
「全国自治体補助助成金制度対象」 は、公的機関が認可した優良設計の証。
・平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅「耐震改修工法・装置」認定。
・全国自治体の建築指導課及び建築防災課認定/「命守」の補助助成に関し認定する旨を通知。
・平時は書斎や寝室に使い、災害時はそのまま避難先となり滞在できる「独立空間設計」です。
2. 公的機関が保証した「大型地震の時も安心な」耐震強度。
「公的機関認定の耐震防災シェルター”」と言えるのは、政府・自治体認定の証。
・阪神淡路大震災級強振に連続4回耐え公的耐震実験を1回で通過する驚異の「耐震強度」。
・都内17区8市で助成金制度対象に指定・都内耐震キャンペーン三年連続出展の実績。
・東京国際展示場リフォーム展に連続出展・令和元年8月9日シェルター意匠登録(第1640335号)。
3. 樹精の高い抗菌性がもたらす「健康空間」は寝室や書斎に最適。
「樹精の抗菌性でストレス緩和、睡眠や学習に有益」と国立大学が実験結果を出しました。
・九州大学大学院の実験による、脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります。
・抗菌性が高い国産杉、ヒノキ、青ヒバの効能・効果を高めるため、無垢材で使用します。
・マンションの中にも設置できますから、都会でも「山小屋気分」を味わえます。

◆ 国産材使用の「日本の森林資源の有効活用」は、持続可能な経済活動に貢献しています。
◆ 工務店・販売協力店の皆様へ。『命守』名以外での販売にも応じられます。
◆ 組立工程の動画、フレーム強度を測る実験画像など『販売協力店専用DVD』を提供出来ます。

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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4 メルマガ・バックナンバー:
「森の駅発」メルマガのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
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5「フェイスブック」の発行:
「森の駅発」のフェイスブックでも発信。仲間を募集しています。
https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
http://www.morinoekihatsu.net/


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