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森の駅発メルマガ No.166
2023 June 水無月「無」の「な」は「の」の意、「みなづき」は「水の月」。田に水を引く月と言われる。
6月06日 芒種 芒はイネ科の穂先の毛です。種をまく時期を意味し農家が忙しくなります。田植えの梅雨も間近です。
6月21日 夏至 北半球では太陽が最も高く昇り、1年で最も昼が長い日です。夏至を過ぎると本格的な夏です。
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目 次
・山小屋通信「新緑の森」大森 明
・美術コラム「小原古邨の『初夏の景』三選」戸田 吉彦
・開発製品の紹介「森の恵 : 耐震健康シェルター 命守」市川 皓一
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山小屋通信「新緑の森」大森 明(メルマガ編集・発行)
5月上旬、信州の山小屋を訪れた。
そこで楽しみにしていた森の風景に数年ぶりに出会えた。その風景とは、芽吹いた樹々に
よって山小屋周辺の森が鮮やかに彩られる新緑の風景のことだ。樹によって微妙に新芽の
色が異なるため、森が明るい色の綺麗なパッチワークのようになる。掲載写真の通り、薄
緑色・黄緑色・黄色・淡い赤色など様々な色彩の葉が芽吹いて、色の組み合せがなんとも
美しい。葉が全て更新される落葉樹はもちろん、常緑樹の松も明るい緑色の新しい葉を枝
先に出している。もうしばらくすると葉の色がみな濃くなって深い緑色の森になるので、
明るい色のパッチワークの森は、この時期限定の束の間のものだ。
現地は標高1100mを超える山中にあり、芽吹きの季節がおおよそ首都圏の平地より1ヶ月
以上遅れてやってくる。年によってばらつくが、おおよそ5月が芽吹きがピークを迎えて
新緑の美しい季節だ。ここ数年、コロナ禍や個人的事情によってこの時期に山小屋を訪れ
ていなかったので、久々に出会った新緑の森に感動してしまった。
以前、この新緑の森を絵に描いて公募展に出展したこともあった。その後も何度か描いて
いる風景だが、何度描いても美しい景色と色彩の妙に魅せられる。この時期に新緑の森を
スケッチするライフサイクルを毎年維持できればいいなあと思っている。
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美術コラム「小原古邨の『初夏の景』三選」戸田 吉彦(日本美術アカデミー理事)
小原古邨 無題(所蔵先タイトル=花咲く豆植物と小鳥・大麦の上で囀る小鳥・飛ぶ燕)アムステルダム国立美術館蔵
Public domain
江戸時代に大衆美術として発展した浮世絵のその後を、「新版画」の登場と川瀬巴水の活躍で
前回ご紹介しました。 またIT革命を起こしたスティーブ・ジョブスが子供の頃、親友の家で見た
巴水の絵の影響で、シンプルな美を求めるようになったとするNHKのWeb特集も付記しました。
そこには日本美術を版画で楽しむ市民の姿があり、同時に100枚以上刷るアンディ・ウォーホル
の版画1枚に、世界に1枚しかない歴史的絵画より高値を付ける米国も思い起こしました。自国の
美術を誇る気持ちだけでなく、良ければ何枚あろうとも厭わない民主主義が根底にあるからで、
かつて庶民が安価で買う美しい浮世絵版画に感動した米国の、版画に対する独特の価値観です。
欧米で北斎、広重と並び 3Hと呼ばれた巴水は国内でも高名ですが、同じ時代に同じく海外で
人気が高かったのに、国内では無名だった絵師が小原古邨(おはらこそん・1877-1945)でした。
近頃は熱烈な国内ファンも現れ、方々で古邨の名前を目にしますが、作品の大半は海外にあり、
古邨の苗字「小原」の読み方も定まらず、最近「おはら」と国際浮世絵学会が定めたほどです。
海外が認めた日本人では、植物分類学の牧野富太郎(1862-1957)が今話題ですが、牧野富太郎と
同じ時代に日本の草木と鳥を描き、欧米が刮目した小原古邨の、「花鳥画」をご紹介します。
古邨が注目された発端は2018年に開催された展覧会と、それを取材・特集した美術番組です。
それ以前の古邨の展覧会は、横浜にあった平木浮世絵美術館が1998年に開催しただけでした。
2018年、茅ヶ崎市立美術館が、開館20周年の記念に原安三郎の小原古邨コレクションを展示、
それをNHKが取材、Eテレ「日曜美術館」で放送したところ大きな反響が起きて、続いて浮世絵
専門の太田記念美術館が翌年、都内初の展覧会を開き古邨の書籍も出版されました。長く埋もれ
ていた小原古邨の名は、美術ファンを中心にSNS上で話題となり、瞬く間に広がったのです。
古邨は巴水と同じく新版画です。欧米にファンが多い点も共通しますが、出自は異なります。
江戸浮世絵師の流れを汲む東京生まれの巴水ですが、古邨は金沢の出身で日本画家の渡辺華邨に
師事。華邨は、日本画は元より浮世絵も研究し、当時の欧米で北斎に次ぐ人気を得ていました。
古邨はフェノロサの勧めで、海外向けの浮世絵版画の絵師になります。古邨の特徴は「花鳥画」
への集中です。細部まで観察して描くため、写生を重視すると古邨は言っています。しかしその
言葉に対しては解剖学的な批判の声もあり、確かに前脚で蓮の葉を頭に乗せ後脚で立つ、有名な
狐の絵は童話の挿絵のようです。しかし鑑賞画は図鑑ではなく、省略や誇張は、他の芸術表現と
同じく、その絵が多くの人に支持され、今も愛される内容を楽しまれたら良いと思います。
季節に合う絵を3枚選びました。全て同じ所蔵元で、制作年は1900-1930年としています。
近代の作品にしてはかなり幅があり、やはり日本の表記も大半は大正後期や昭和初期などです。
世界中どこも制作期に一定の幅を持たせるのは、関東大震災や東京大空襲の焼失で、現在残る
資料・記録が少なく、研究者も限られ、古邨の研究が始まったばかりだからです。
左図は豆の木が空へ蔓を伸ばし、花を咲かせ実をつけた、生命力溢れる今頃の季節の絵です。
さらに鳥と豆のサイズが逆転する不思議さに目が止まります。米国ではこの小鳥を南北アメリカ
大陸のハミングバードとしていますが、日本にも黒い羽と茶の腹の雀より小さな、セッカという
野鳥が春から夏にかけ農地へ飛んで来ます。大きな豆は、莢(さや)が全長50cmにも達する鉈豆
(刀豆・なたまめ)でしょう。熱帯原産の豆なので、米国人は日本にいない鳥と考えたのでしょう。
江戸時代に輸入された鉈豆は、薩摩藩が栽培しており、明治以降は福神漬の材料で知られます。
中の図、鳥が止まる黄ばむ前のイネ科の植物は、実が整列して針状の芒(のぎ)が穂より長く、
大麦かその仲間の麦草で、鳥は葦原によく来る雀より一回り大きなオオヨシキリと思われます。
古邨は虫を捕まえる小鳥をよく描き、この鳥も首を蝶の方へ向け次の動きを仄めかしています。
鳴き声から付いた別名、行々子(ギョギョシ)は夏の季語です。同じく季語の「麦秋(ばくしゅう)」
や、暦の七十二候、「麦秋至(むぎのときいたる)」も、麦が実る時期の初夏を指し、女優原節子が
主演した映画「麦秋」(1951・小津安二郎監督)を連想しました。やはり季節は初夏のようです。
右図の柳に燕は、梅雨の季節の定番の絵です。しかし体を捻りつつ飛ぶ三羽の燕に、躍動感と
素早い動きを表現し、生き生きした小さな生命が伝わって来ます。昼も暗転する夕立ちは摺師の
腕の見せ所と、変化の幅が広い墨の吹き下げぼかしです。主役の燕は白と黒の対比で鮮やかに、
赤と緑の微かな色、夏日に一瞬訪れた涼しさが伝わって来ます。簡潔な色と形で季節と命を描く
古邨の筆に、来日経験がない多くの人も、日本の自然を想像して魅了されたのでしょう。実際、
小原古邨の絵は美術愛好家に求められ、世界各国の美術館に収められました。
それまで日本と中国の区別がなかった欧米が、初めて日本に魅了されたのは1867年のパリ万博
に出品した日本美術からです。それ以降浮世絵は、欧米の文化人達に買い求められていきます。
今はサブカルチャーと呼ぶアニメで宮崎駿や新海誠が描く、日本の田舎の風景を求めて世界中の
ファンが来日する熱意に私達は驚いています。先日牧野富太郎が暮らした東京都練馬区大泉学園
を訪れた時、武蔵野の面影残るその地は日本アニメ発祥の地でもあり、牧野富太郎逝去の翌年に
日本初のアニメが作られたと知りました。草木や鳥を生き生きと描く古邨の絵にも、海外で昨今
評判の日本アニメにも共通するのは、自然に向けた作者の眼差しに対する共感なのでしょう。
*アニメは英語「animation(アニメーション)」の略。「animation」に日本で使う意味のほか「生気」や「活気」、
「活発」の意味があるのは、「animation」が「霊魂」「魂」を意味する、ラテン語「anima(アニマ)」に由来する
ためで、静止画に命を与えるところからこのような動画も意味する。animal(アニマル)と同じ語源。【語源辞典】
*かつて岡本前代表幹事にメルマガへの寄稿を勧められ、樹木の専門ではないので木にまつわる美術の話でよければと
2020年より連載を開始しました。浮世絵と日本美術は2013年会員に推挙された(一社)日本美術アカデミーで前理事長
小林忠学習院大学名誉教授に師事。2019年第1回国際北斎学会事務局長。2021年『北斎のデザイン』(翔泳社)上梓。
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開発製品「森の恵 : 耐震健康シェルター 命守」市川 皓一(一級建築士)
S様(都内豊島区目白)は「全国自治体補助助成金制度」の利用で「命守」をご自宅に
設置され、香り良く寝心地が抜群で、地震にも安心と、92歳の御祖父様に好評です。
耐震健康シェルター「命守」は青森県銘木・青森ヒバの住宅設計に長年携わって来た、
当会の市川の企画・設計による、個室タイプの耐震製品です。
◆ S邸の「命守いのちもり」施工の様子が Youtube(動画)でご覧頂けます。
▶︎ https:youtu.be/wiaTwsv4iiM
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メルマガ読者対象特別価格 80万円 (杉材使用・加工済み部材部品価格・税別)
施工費はご要望を確認の上お見積りします(一般的参考総額 上記部材費込み約150万円)。
設置面責は、通常の木造住宅内で約「3.2帖」必要です。
ご用命・ご相談 090-3229-5678 市川(青ヒバの会・市川総合設計室)
◆ 様々なオーダーメイドに対応。
・平時はリモートワーク・オフィスに→セキュリティのため扉に施錠を
・平時はオーディオルーム・楽器演奏室に→遮音の防音・防振対策を
・平時は自宅介護室に→上下水道の必要性から便器・洗面用の配管と防水二重床に
・平時はガーデンルームに→防水と採光に防水の外壁・屋根と窓ペアガラスの屋外仕様に
◆ 気密性が高まる場合は、換気装備を設け、室内を静圧に保ちます。
◆ 耐震健康シェルター『命守』好評の3大理由。
1. 森の駅推進協議会 健康住宅研究会開発の「信頼」設計。
「全国自治体補助助成金制度対象」 は、公的機関が認可した優良設計の証。
・平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅「耐震改修工法・装置」に認定
・全国自治体の建築指導課及び建築防災課認定/「命守」の補助助成に関し認定する旨の通知
・平時は書斎や寝室に使い、災害時はそのまま避難先となり滞在できる「独立空間設計」
2. 公的機関が保証した「大型地震の時も安心な」耐震強度。
「公的機関認定の耐震防災シェルター”」と言えるのは、政府・自治体認定の証。
・阪神淡路大震災級強振に連続4回耐え公的耐震実験を1回で通過する驚異の「耐震強度」
・都内17区8市で助成金制度対象に指定・都内耐震キャンペーン三年連続出展の実績
・東京国際展示場リフォーム展に連続出展・令和元年8月9日シェルター意匠登録(第1640335号)
3. 樹精の高い抗菌性がもたらす「健康空間」は寝室や書斎に最適。
「樹精の抗菌性」でストレスが緩和し睡眠や学習に有益な国立大学の実験結果。
・九州大学大学院の実験による、脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります。
・抗菌性が高い国産杉、ヒノキ、青ヒバの効能・効果を高めるため、無垢材で使用します。
・マンションの中にも設置できますから、都会でも「山小屋気分」を味わえます。
◆ 国産材使用の「日本の森林資源の有効活用」は、持続可能な経済活動に貢献しています。
◆ 工務店・販売協力店の皆様へ。『命守』名以外での販売にも応じます。
◆ 組立工程の動画、フレーム強度を測る実験画像など、『販売協力店専用DVD』を提供します。
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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。
1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。
2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/
3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com
4 メルマガ・バックナンバー:
「森の駅発」メルマガのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
http://www.morinoekihatsu.net/merumaga.html
5「フェイスブック」の発行:
「森の駅発」のフェイスブックでも発信。仲間を募集しています。
https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/
6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
http://www.morinoekihatsu.net/
○● メールアドレスの変更、メルマガの解除はこちらまで。
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