メルマガ161

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森の駅発メルマガ No.161

2023 January 睦月 睦には親しくする意味があり、正月一堂に会し新年を寿ぎ祝う月。
小寒(1月6日)寒さが一層厳しく感じるこの日から「寒の入り」と言い、節分までは「寒の内」です。
大寒(1月20日)立春頃まで最も平均気温の低い時で、大気の雑菌が少なく味噌や日本酒を仕込みます。

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謹んで新年のお慶びを申し上げます。
皆様のご健勝とご多幸を願い実り多き本年となりますようご祈念申し上げます。またあらためて
旧年中のご厚誼に感謝致しますと共に、本年も宜しくお願い致します。 森の駅発メルマガ編集部一同

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目 次
・山小屋通信「緑のリースいろいろ」大森 明
・開発製品の紹介「森の恵:耐震健康シェルター命守(いのちもり)」市川 皓一
・木材関連催事情報「WOODコレクション (モクコレ) 2023」
・美術コラム「近代の登場、円山応挙。国宝『雪松図』」戸田 吉彦


円山応挙『雪松図』(右隻)紙本墨画金泥金砂子 六曲一双(各155.7×361.2cm)江戸時代天明期 国宝 三井記念美術館蔵

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山小屋通信「緑のリースいろいろ」大森 明

当方は新年やクリスマスなどの時期にこだわらず、
日常的に樹の枝や蔓でリースを作り、リース図柄の絵を描く習性がある。
例えば、剪定のたびに出る小枝・葉・蔓を円形に組んで壁に掛けるリースを作ったり、
時には誕生日のお祝いにリース絵柄のカードを描いてプレゼントに添えたりする。

先日はローズマリーの枝の剪定をして、その枝や葉を組んでリースを作った。
廊下・玄関・トイレなどに飾って、見た目の緑の綺麗さだけでなく、
漂う芳香を季節に関係なく楽しもうという狙いだ。
ただローズマリーは萎れてしまうのが割合早く、
写真を撮りそびれているうちに枯れてしまった。
それでも綺麗な緑と強い芳香を束の間楽しめたのである。

悲しいことに、最近腰に続いて腕を痛め、
木の枝や蔓を切ったり曲げたりしてリースをつくる作業ができず、
腕に負担がかからない程度にリースの絵をサラサラと描くしかない状況になっている。
そう言っても、枝葉や蔓で作るリースも、絵に描くリースも、
草木に親しんでの創作なので楽しいことに変わりはない。

そんな事情でリースの絵を何枚か描こうとして、
ふと近年描くリースは濃い緑色のものが多いことに気づいた。
この「濃い緑色ワンパターン」を脱却しようと、
今年は描く素材を緑が濃くなりがちな針葉樹でなく、
広葉樹の葉やドングリに変え、花も描き入れて色彩面の変革を試みた。
結果は濃い緑色ではないのだが、緑色系に変わりはなく、変革とまではいかなかった。
しかし評判は良いので、一応安堵している。


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開発製品「森の恵 : 耐震健康シェルター 命守」市川 皓一(一級建築士)

耐震健康シェルター「命守(いのちもり)」は、青森県銘木青森ヒバの住宅設計に携わり
多くのメディアに紹介された当会・市川の企画設計による個室タイプの耐震製品です。
92歳のお祖父様のため設置されたS家(都内豊島区目白)の皆様も、地震に備えた助成金
を利用されました。香りが良く寝心地も抜群で、いざという時も安心と喜ばれています。
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メルマガ読者対象特別価格 80万円 (杉使用・加工済み部材部品価格・税別)
施工費はご要望を伺い別途お見積りします(一般的参考総額 上記部材費込み約150万円)。
※設置面責は、通常の木造住宅内で約「3.2帖」必要です。
ご用命・ご相談 090-3229-5678 市川(青ヒバの会・市川総合設計室)

◆ 必要に応じ様々なオーダーメイドに対応。
・平時リモートワーク・オフィス→セキュリティ→扉に施錠
・平時オーディオルーム・楽器演奏室→遮音→防音防振
・平時自宅介護室→上下水道→便器洗面用配管&防水二重床
・平時ガーデンルーム→防水・採光→防水外壁&屋根と窓ペアガラスの屋外仕様
※気密性が高まる場合は、換気装備を設け室内を静圧に保ちます。
◆ 耐震健康シェルター『命守』。好評の3大理由。
1. 森の駅推進協議会 健康住宅研究会開発の「信頼」設計。
「全国自治体補助助成金制度対象」 は、公的機関が認可した優良設計の証。
・平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅「耐震改修工法・装置」に認定
・全国自治体の建築指導課及び建築防災課認定/「命守」の補助助成に関し認定する旨の通知
・平時は書斎や寝室に使い、災害時はそのまま避難先となり滞在できる「独立空間設計」
2. 公的機関が保証した「大型地震の時も安心な」耐震強度。
「公的機関認定の耐震防災シェルター”」と言えるのは、政府・自治体認定の証。
・阪神淡路大震災級強振に連続4回耐え公的耐震実験を1回で通過する驚異の「耐震強度」
・都内17区8市で助成金制度対象に指定・都内耐震キャンペーン三年連続出展の実績
・東京国際展示場リフォーム展に連続出展・令和元年8月9日シェルター意匠登録(第1640335号)
3. 樹精の高い抗菌性がもたらす「健康空間」は寝室や書斎に最適。
「樹精の抗菌性」でストレスが緩和し睡眠や学習に有益な国立大学の実験結果。
・九州大学大学院の実験による、脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります。
・抗菌性が高い国産杉、ヒノキ、青ヒバの効能・効果を高めるため、無垢材で使用します。
・マンションの中にも設置できますから、都会でも「山小屋気分」を味わえます。
◆ 国産材使用の「日本の森林資源の有効活用」は持続可能な経済活動に貢献しています。
◆ 工務店・販売協力店の皆様へ。『命守』名以外での販売にも応じます。「組立工程」撮影の編
集動画や「フレーム強度」を測る実験画像等『販売協力店専用DVD』用データも提供。

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木材関連催事情報
「WOODコレクション (モクコレ) 2023」東京ビッグサイト西1・2ホール
2023年1月31日(火)~2月1日(水)10:00~17:30 ※ 2月1日は16:30 まで 
第7回「国産木材に特化した木材製品総合展示会」39都道府県から250事業者が参加する木材
製品のビジネスショー。テーマは「見つける、つなげる、広げる、国産木材との新たな出会い」。
オンライン商談会 online.mokucolle.com 1月17日~ 2月17日先行開催
入場:無料(事前登録制)
ホームページ(専用サイト):https://mokucolle.com ※事前来場登録もこちらから
問い合わせ先:Email: mokucolle2023@tohgashi.co.jp 電話:03-5244-9290

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美術コラム「近代の登場、円山応挙。国宝『雪松図』」戸田 吉彦


円山応挙『雪松図』(左隻)紙本墨画金泥金砂子 六曲一双(各155.7×361.2cm)江戸時代天明期 国宝 三井記念美術館蔵

 日本では近代絵画の始まりを、明治時代の西洋画と結びつける人が殆どではないでしょうか。
これは鉄道開業の明治5年(1872)、ボザール(beaux 仏)やアート(art 英)に官製訳語の
「美術」を当て、西洋美術が唯一の近代絵画であるかの様に教育した、明治政府の成果です。
だがフランスで学んだ黒田清輝が裸婦画を展示すると警察が出動、西洋が古代ギリシャ以来理想
とする裸像の理解もないと論争が起き、それをまた西洋人が戯画化する騒動でした。その一方、
心ある日本の洋画家は、西洋の模倣でない日本の洋画とは何かと長く悩む原因になります。
また廃仏毀釈運動が起き日本美術は存亡の淵に立ち、フェノロサと岡倉天心が存続に努めるも、
浮世絵が燃やされ、名品が安く海外流出した過去が顧みられずに来た反省が現在あります。

 先に近代へ進んだ西洋は、自立した精神の登場を近代とし、技法や画材の進化は二の次です。
中世や中央集権時代は権威や集団への従属が優先され、絵も形式や伝統の枠の中で描かれます。
やがて自然科学の発達と共に自らの観察が表現され、画家と絵画は主体性を持つ様になります。
では明治時代より前の日本に、近代的画家はいたのでしょうか。実は近代西洋画からの吸収は、
絵師が自ら実践していたのです。西洋画の模倣は17世紀の南蛮屏風に始まり、18世紀は浮世絵
に一点透視図法が登場します。18世紀後期は長崎で学んだ油絵陰影法を秋田藩主佐竹曙山と藩士
小野田直武らが日本初の再現をした秋田蘭画が、銅版画は独学の司馬江漢や亜欧堂田善が活躍。
絵の具では最近の北斎ブームで有名になった舶来顔料のベロ藍の流行もありました。さらに過去
や他国の学習だけでなく、己が目で見て己の考えで描く、近代の意識も芽生えています。

『雪松図』は一見すると、金地に墨一色で描かれた伝統的屏風絵で、雪に枝たわむ松の姿です。
しかし粉雪が風に舞う描写はそこに立ち会っている如く、ただ室内を飾る絵画ではありません。
雪が貼り付く樹幹は激しかった先程の吹雪を、背景は雪が止み明るくなり始めたこの時を語り、
写生で日本画に新風を吹き込んだ、円山応挙(1733-1795)に相応しい日本近代の傑作です。
そして当時の人々が我々と同様、応挙の感受性や鋭い観察と、伝統との融合を楽しんだことは、
新しい感性として応挙の絵が喜ばれ積極的に迎えられた事実からも明らかです。

 応挙は享保18年、丹波国南桑田郡穴太(現京都府亀岡市)に農家の次男として生まれました。
欧米に影響を与えた葛飾北斎(1760-1849)の誕生から遡ること27年前になります。
15歳で京の玩具商、尾張屋へ奉公に出て眼鏡絵に興味を持ったのが絵師になるきっかけでした。
眼鏡絵は、一点透視図の遠近効果で浮絵と呼ぶ風景画を取り替えてはレンズを通し観る玩具で、
名所絵が中心ですが、まだ見ぬ世界へ誘われるような錯覚を覚え当時大変人気を博しました。
応挙は奉公してほど無く、狩野派の石田幽汀について絵を習っていますが、謝礼はどうしたのか
尾張屋が商いに役立つと思ったのか分かりませんが、奉公の身で絵も習える幸運に恵まれます。
「応挙筆」と今に伝わる眼鏡絵は、現代の絵と見紛うほど遠近表現に不自然さがありません。
有名絵師と比べても遜色無い風景画なのですが、この玩具用の絵が応挙の最初の作品でした。

 落款もない眼鏡絵が当時から大切に残されているのは、無名の頃から評価された証しですが、
倦まず弛まず、奢らずに研鑽を積み、やがて画業の幅を広げて、自らの画風を確立します。
応挙は目にする様々な草木や昆虫、鳥や獣を描くため、常に写生帖を懐に入れていたそうです。
現在残る写生図からは図鑑の様な正確さと共に、今描かれた様な瑞々しさが伝わってきます。
中国の写実的絵画、博物学、蘭学が流行した安永・天明期(1772-1788)の影響も考えられ、
円山応挙の他、当時の新進画家を列挙した「平安人物志」にある、文人画の池大雅と与謝蕪村、
奇想画の伊藤若冲と曽我蕭白の名前からは、個性的な絵師達が活躍した時代が想像できます。
応挙の絵は奇をてらうものではありませんが、ライバルからの刺激は大いにあったでしょう。
やがて応挙は皇室と縁深い蓮池院尼公(宝鏡寺)に召し抱えられ、豪商三井と交流し始めます。
盛期は京都画壇の中心として活躍、弟子が大勢集まり今に続く「円山派」の祖となりました。
しかし誰からも慕われる真面目さは、自分の病で止まった金毘羅宮表書院と大乗寺の障壁画を、
小康を得るや一気に仕上げ、完成後間もない寛政7年、63歳で亡くなる遠因ともなりました。
朝廷庇護下の土佐派と幕府御用達の狩野派の権勢盛んな時、皆が応挙を認めたのも稀有ならば、
現代まで脈々と流派が絶えないこともまた世界的に見て珍しいことです。
自然を観察し、大地を耕す如く画業を続けた応挙は、今再び近代の魁として注目されています。
もし応挙を樹木に例えるなら、降雪期も青々と茂る雪松図の大木が相応しくないでしょうか。

*松(学名:Pinus)マツ科マツ属。針葉樹。針のように尖る葉と、松かさ(松ぼっくり)と呼ぶ球果が特徴。
適応力強く、浜から高山まで約100種が北半球に自生。南半球にも人工植栽され、建築から薬用まで広く利用される。
冬も青々とした松は不老長寿とされ、信仰の対象となり、竹・梅と共に「松竹梅」(中国は歳寒三友)と呼び寿ぐ。
鶴・亀、翁・嫗(おきな・おうな)の長寿を祝う絵の背景に描かれ、正月の「門松」も神を出迎える意味がある。
能舞台でも背景に必ず描かれ(松羽目)、能や狂言に取材した歌舞伎演目でも使われる(松羽目物)。
民間伝承では松に係わる羽衣伝説が、三保の松原はじめ各地に伝わる。
松の共生種の松茸や松露が珍重されるのも松の縁起の良さに負い、松を燃やし煤を集め固めた墨(松煙墨)もある。
西洋でも、松は古くから魔除けや神が降りる樹として、イタリアを中心に珍重されてきた。
油絵具のテレピン油は松ヤニを蒸留して作り、残る樹脂でヴァイオリンの弓毛に塗る松脂を作るなど芸術と縁が深い。
ドイツ発祥の聖誕樹、クリスマスツリーはマツ科モミ属の木を、北欧、英国、米国南部、豪州はマツ属の樹木を使う。
琥珀は太古の松柏類の天然樹脂が結晶した化石の宝石。岩手県久慈地方産は約8,500万年~9,000万年前で世界最古。
ロシアバルト海沿岸地域産やドミニカ共和国産よりも数千万年古く、この3つは世界三大産地に数えられる。
*展覧会「国宝 雪松図と吉祥づくし」開催中 1月28日まで 三井記念美術館 https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/
*参考文献「円山応挙論 冷泉為人」関西学院大学リポジトリ http://hdl.handle.net/10236/00028238

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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

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