メルマガ157

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

森の駅発メルマガ NO.157
2022 September 長月(夜長月)
9月の二十四節気は白露(9月8日)と秋分(9月23日) 雑節は二百十日(9月1日)と彼岸(9月20日)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

美術コラム「クロード・モネの『ポプラ並木』」戸田 吉彦
山小屋通信「八方尾根から唐松岳へ至る登山道の『植生逆転』」大森 明
製品案内「耐震健康シェルター『命守』」市川 皓一

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

美術コラム「クロード・モネの『ポプラ並木』」戸田 吉彦


  Claude Monet『Poplars』1891年 世界各国の美術館に所有されるモネの連作『ポプラ並木』の一部
左から国立西洋美術館(日本)、テート美術館(英国)、フィラデルフィア美術館(米国)各所蔵品 Public domain

19世紀後半から20世紀に活躍した風景画家のモネ(1840-1926)は、浮世絵の影響を受けた
印象派の代表格として知られ、自邸に池を作り太鼓橋を架け、日本の橋と呼ぶほど日本に憧れて
いました。今月の『ポプラ並木』は、今も保存されているそのジヴェルニーの家の近くを流れる
セーヌ川支流域を描いた連作です。モネは早くから北斎始め浮世絵をパリで販売し同時に印象派
の絵を買う、日本人画商の林忠正と出会い、また美術品蒐集のため何度も渡仏した実業家の松方
幸次郎(モネを含む松方コレクションは戦後国立西洋美術館建設の礎となります)ら、在仏日本
人と終生親しく交流しました。また当時日本の文芸誌『白樺』は、モネや印象派をいち早く紹介
していたそうです。モネは日本で大変な人気があり、好きな画家のアンケートを行うと常に三本
の指に入るのも、モネ自身が生前から日本を愛していたことと無関係ではないでしょう。

一方モネの母国ではモネの絵を長い間認めず、私生活でも父に反対されながら結婚した最愛の妻
が、貧困の中で病没する悲劇にも遭います。しかしモネは同世代の友情に恵まれました。画塾が
同じルノワール(1歳下)とシスレー(1歳上)とは官展落選後、一緒に第1回印象派展を開き
(1874年)、パリで印象派グループに参加し同じく落選が続くセザンヌ(1歳上)が故郷の南仏
へ帰ると、モネは後日訪ねています。歳が同じ小説家のゾラはなかなか認められないモネをペン
の力で応援し、誕生日が2日違いの彫刻家ロダンはモネと二人展を開催しています。審査員や評
論家が旧弊な価値観から侮蔑的言葉で全否定する中で、励まし合う様子が彼らの足跡から見えて
きます。有名な晩年の大作の『睡蓮』が生まれた背景にも、再婚した妻や子供にも先立たれ視力
も衰える中で自暴自棄になるモネを励ました政治家クレマンソー(1歳下)の姿が見えます。

幼い頃から感受性鋭く絵も上手だったモネは、風景画家のブーダンに才能を見出され、屋外に
画架を立てて描く方法を教わります。やがて自然光の感動を追求する中で混色ぜず画布に素早く
筆を置く技法が顕わになります。筆跡荒く色が分割隣接し離れて鑑賞すべきこの筆触分割法は、
色の鮮やかさが損なわれず、後に点描派が誕生します。当時は丁寧に仕上げないで発表する絵は、
鑑賞や審査への冒涜とみなされ、美術館関係がモネを認めない発言は1890年代まで続きました。
逆風の中で50歳を迎えるモネはパリを離れ、ジヴェルニーで収穫後の風景を描き始めます。
 連作は昔からありますが、モネの連作は北斎の『冨嶽三十六景』や、広重の浮世絵揃物の影響
と言われ一つのテーマが数十枚に及びます。最初に連作としてまとまった、収穫後の畑を描いた
『積み藁』は、米国で売れモネは借りていたジヴェルニーの家を買います。同じ年の春には近所
の岸辺で『ポプラ並木』の連作を始め秋までに23点完成します。『積み藁』は数年かけ追求した
結果の連作ですから、構図も積み藁も様々ですが、『ポプラ並木』は同じ年の春から秋まで同じ
場所から見た同じ構図の色の変化です。移り変わる景色の面白さが誰の目にも分かり易く、モネ
は連作に市場的な手応えを確信して意図したのでしょう。事実、印象派で敵対していたピサロは
商業的だと批判しますが、再び米国は大量に購入し、以後国内の評判も高まりモネは庭に花壇を
作り作庭を楽しみ始めます。その後各地へ旅し風景の連作を描き続けますが、『ポプラ並木』は
苦心の末に解き放たれた明るい気分が溢れる名作として、世界中の美術館に所蔵されています。

日本では札幌の赤レンガ道庁前や、北海道大学のポプラが有名で、唱歌「牧場の朝」を思い出し
口ずさむ人も多いと思います。「ただ一面に立ちこめた 牧場の朝の霧の海 ポプラ並木のうっ
すりと 黒い底から勇ましく 鐘が鳴る鳴る かんかんと」(杉村楚人冠作詞 舟橋栄吉作曲)
道庁のポプラは明治29年(1896)、北大は明治36年の植樹ですから、モネの『ポプラ並木』の
1891年からそう遠くなく、『牧場の朝』は昭和7年作ですが、舞台は現存する福島県岩瀬牧場で、
明治の初め、明治天皇が東北巡行の折に鏡石・矢吹・須賀川の原野開墾を命じて誕生した日本初

の西欧式牧場です。明治40年に乳牛と農機具を輸入したオランダから鐘が贈られました。垂直に
立つヨーロッパポプラは成長早く見栄えも良いことから、欧米で装飾樹として用いてきた歴史が
あり、欧米化を進める先人達は防風防雪も兼ねた記念樹に相応しいと植樹したでのしょう。その
景色はいま私たちに明治開拓期の雄々しいロマンを伝えています。
…………………………………………………………………………………………………………………
・ポプラ(poplar)ヤナギ科ヤマナラシ属、又はハコヤナギ属(学名:populus)別名セイヨウハコヤナギ。ヤナギ科
落葉広葉樹、雌雄異株の風媒花。春は穂状の花が咲き夏に白い綿毛が飛ぶ。北半球にヤナギ科が200種以上分布する中
でポプラ原生種は、北米、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアに約30分類を確認。その昔ローマが広場の装飾樹に植えて
Arbor Populi(民衆の樹)と呼んだのが名前 Populus となった説と、葉が微風でゆれ動く意味の Paipollo から来て
いるとする説がある。生長早く街路樹や装飾樹に用いる。殆どのポプラが挿木で容易に増殖できる。元々は地域ごとに
異なる種があり分かれていたが、近年天然交配の雑種や人工的改良種が増え違う樹に同じ名前が使われる混乱もある。
原種は5節(ラウキー、アイゲイロス、クロポプラ、タカマハカ、ドロノキ『ポプラの造林』森田健次郎)。ラウキー
節 (Leuce)の主な種は地中海沿岸、西アジア、中央アジア、中国のギンドロ(White poplars)種と、北欧、シベリア、
旧満州、朝鮮、日本のヤマナラシ(Aspens)種。ダニューブ川南域、地中海沿岸、小アジア、北米のアイゲイロス節
(Aigeiros) とクロポプラ節(Black poplars)は、東アジアにはない。主な種は北海道に導入した有名なヨーロッパク
ロポプラとアメリカクロポプラ。中国,東シベリア、日本、カナダ、米国西部のタカマハカ節(Tacamahaca)とドロ
ノキ節(Balsam poplars)はヨーロッパ、近東にはない。主な種は北海道在来のドロノキ(北海道ポプラ)、海岸砂
防林のシモニードロなど。木材の特徴は白く軽く柔らかく瘤状の模様がある。日本では楊枝(ポプラの漢字は白楊)や
マッチの軸棒に用いる程度だが、西欧では古くから木靴や義足など広く活用。日本は国立林業試験場が昭和14年に研究
を始め、東大北海道演習林、王子製紙林木育種研究所、道立林業試験場が継承、観賞以外の生産材の可能性を広げた。
日本改良種はドロノキとヨーロッパクロポプラを交配した釜渕種、王子ポプラといわれるドロノキ改良種など。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

山小屋通信「八方尾根から唐松岳へ至る登山道の『植生逆転』」大森 明


今夏、山小屋登山隊は南アルプスでテント泊予定だったが天候不順で断念。代替策でわが山小屋
に2泊し、天気が何とか持ちこたえそうな北アルプス・八方尾根⇄唐松岳(標高2696m)の日帰
り登山に変更したが、その登山道で「植生逆転」を眼にすることができた。
「植生逆転」の状況は次の通り。
まず八方尾根を登りはじめた標高1800~2100mあたりは高山植物が咲き乱れる草地やハイマツ
帯で、景観的には森林限界を超えた高地の広々とした尾根歩きのような雰囲気が続いた。
しかし、さらに登り標高2200mあたりで忽然とダケカンバやシラカバの森が目の前に出現した。
いつもの登山ならば、まず樹林帯を登って森を抜けた後に、ハイマツ帯や高山植物の草地になる
はずが、今回は順番が逆転していた。
最終的には、森を抜けて唐松岳の稜線につながる尾根に出ると森林限界を超え、山頂まではハイ
マツ帯や岩場になったが、なんとも不思議な気分だった。登山隊メンバーも首をかしげていた。
「植生逆転」の原因を下山後に調べてみると、主原因は八方尾根の地質にあった。
八方尾根は登山開始地点も含めて蛇紋岩質地帯が広く分布し、その成分(高濃度のマグネシウム
やニッケル等)及び、崩壊しやすい岩質により、樹木が育ちにくい環境にあり、
そんな環境でも耐えられるハイマツや高山植物が他の樹木のかわりに進出しているとのこと。
一方、それより標高の高い所が堆積岩や花崗岩質地帯になっていて、
そこにダケカンバなどの亜高山帯森林が進出している、ということだった。
いずれにせよ、数時間の登り坂でへばって気持ちが萎え気味のわが登山隊にとっては、森が出現
してくれたおかげで、ちょうど降ってきた雨が樹々の葉で遮られて体もリュックも濡れずに済み、
まさに「救いの神」の森だった。
おかげで順調に下山してゆっくり日帰り温泉に浸かることができた。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

商品紹介「耐震健康シェルター『命守』」 市川 皓一(一級建築士)


各方面で好評を得ている『命守』には、五大特徴があります。
1. 国産材使用で「日本の森林資源を有効活用」
2. 樹精の高い抗菌性は「健康空間」の寝室や書斎に最適
3. 地震時はそのまま「公的機関保証の耐震シェルター」
4. 持続可能な経済活動として「SDG’s」 に貢献
5.「森の駅推進協議会・健康住宅研究会」の設計開発

安心と信頼の優良設計で公的機関認可「全国自治体補助助成金制度対象」
  阪神淡路大震災級強振に連続4回耐え公的耐震実験を1回で通過した「耐震強度」
  平時は書斎や寝室、災害時はそのまま避難場所となり滞在できる「独立空間」
  国産杉、ヒノキ、青ヒバなどの無垢材を使いストレスを緩和する「樹精の抗菌性」
  (九州大学院の実験で、脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります)
  設置面責は通常の木造住宅で約「3.2帖」。都会のマンションの中でも「山小屋気分」

公的機関が防災シェルターに認定。政府や自治体のお墨付きです。
  平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅「耐震改修工法・装置」認定
  都内17区8市で設置に助成金制度の対象。都内耐震キャンペーン三年連続出展
  全国自治体の建築指導課及び建築防災課から「命守」の補助助成に関して認定する旨通知
  東京国際展示場リフォーム展連続出展。令和元年8月9日シェルター意匠登録(第1640335号)

様々なリクエストのオーダーメイドに対応。お気軽にご相談下さい。
  例1:リモートワーク・オフィス/扉施錠でセキュリティ
  例2:オーディオルーム・楽器演奏室/防音防振で遮音
  例3:自宅介護室/便器洗面用配管&防水二重床
  例4:ガーデンルーム/防水外壁&屋根と窓ペアガラスの屋外仕様
  ※上記の気密性が高まる場合、換気装備を設けて室内を静圧に保ちます。
工務店・販売協力店へも販売します。
  製品名『命守』以外『テレワーク・シェルター』『ワークキャビン』『森のシェルター』等
  販路に合わせた改名も可能です。ご相談ください。「組立工程」を撮影編集した動画や、 
  「フレーム強度」を測る破壊実験の画像をまとめた『販売協力店専用DVD』のデータ提供。

メルマガ読者特別価格 80万円
  加工済み部材価格です。施工費はご要望に合わせて別途お見積もり致します。
ご相談とご用命は 090-3229-5678(市川総合設計室・青ヒバの会/市川)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4 メルマガ・バックナンバー:
「森の駅発」メルマガのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
http://www.morinoekihatsu.net/merumaga.html

5「フェイスブック」の発行:
「森の駅発」のフェイスブックでも発信。仲間を募集しています。
https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
http://www.morinoekihatsu.net/

○● メールアドレスの変更、メルマガの解除はこちらまで。
happysun9@gmail.com

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★