メルマガ156

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森の駅発メルマガ NO.156
2022 August 葉月
8月の二十四節気は立秋(8月7日)、処暑(8月23日)、祝日は山の日(8月11日)。

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山小屋通信「カール・ベンクス氏に学ぶ」大森 明
製品案内「耐震健康シェルター『命守』」市川 皓一
美術コラム「ゴッホの『オリーブの果樹園』」戸田 吉彦

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山小屋通信「カール・ベンクス氏に学ぶ」大森 明


先日、カール・ベンクス氏がテレビ番組に出演され、元気に活躍されているご様子を拝見
して嬉しかった。
その番組はNHK・Eテレ「カールさんとティーナさんの古民家村だより」(毎月第4日曜
18:00放送)。主人公として登場するカール・ベンクス氏は、新潟県十日町で古民家を
何軒も蘇らせている建築家だ。
森の駅推進協議会の勉強会(2013年6月)で十日町を訪れ、ベンクス氏の優しい笑顔と
印象的なお話し、蘇らせた古民家を見てまわったことが思い出される。
ベンクス氏のお話しからは日本の木造建築など伝統文化への思いの強さがひしひしと伝わ
ってきて、壊れかかって放置されている日本の古民家を惜しみ、根気よく復活させる行動
力と豊かなアイデアに本当に感心した。ベンクス氏はこの点をTVでも熱く語っていた。
奥様のティーナさんも地域で精力的に活動されているのを拝見し、こちらも元気をいただ
いた。
また、勉強会の折は我々数十人が大挙して訪れた状況下、十日町のみなさんが手料理など
で歓迎してくれたことも嬉しかった。優しくて人間性たっぷり。同行した当方の娘も感激
していた。
十日町ではベンクス氏のご自宅を含め、蘇らせた古民家が森や山や街にうまく溶け込んで
いる。日本とドイツの建築を融合させた古民家は色も鮮やかで、黄色い家あり、ベンガラ
の赤い家ありで、個性的で美しく、私も「この風景を描きたい!」と心から思って何枚も
スケッチした。帰宅後にベンクス氏の足元にも及ばないが、建築古材や廃材を使って木製
フレームを作り、描いた絵を収めた。さらにその絵を印刷加工してうちわとして愛用して
いる。毎夏うちわを使うたびに十日町のことを思い出す。
当方もこの訪問以来、うち捨てられた古材・家具・建具を見つけると引き取っては治し、
治せないものは額縁・玩具などに再生させるようになった。
当方にとって本当に有意義な勉強会だった。
なお、番組は今年4月スタートして今まで4回放送された。これからもベンクス夫妻と、
十日町の方々のご活躍をTVで拝見するのを楽しみにしている。

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私たち森の駅推進協議会の、健康住宅研究会が設計・開発した『命守』
は、平時は健康・独立空間として書斎や寝室に活用し、地震の時には、
そのまま公的機関が保証する「耐震シェルター」となります。
「日本の森林資源を活用する」ため、国産材使用を目的に開発したので
SDG’s の「持続可能な経済活動」としても注目、評価されています。


■ 平時は書斎や寝室、災害時はそのまま避難場所となり滞在できる、「独立空間」
■ 阪神淡路大震災級の強振連続4回に耐え、公的耐震実験を1回で通過した、「耐震強度」
■ 公的機関が認可した安心と信頼の優良設計で、「全国自治体補助助成金制度対象」
■ 国産杉、ヒノキ、青ヒバなどの無垢材を使いストレスを緩和する、「樹精の抗菌性」
 (九州大学院の実験報告で、脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります)。
■ 設置面積は通常の木造住宅で約「3.2帖」。マンションに設置すれば「山小屋気分」
■ 公的機関が防災シェルターに認定した、政府や自治体のお墨付きです。
 平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅の「耐震改修工法・装置」認定。
 都内17区8市で設置に助成金制度の対象。・都内耐震キャンペーン三年連続出展。
 全国自治体の建築指導課及び建築防災課から「命守」の補助助成に関して認定する旨通知。
 東京国際展示場リフォーム展連続出展。・令和元年8月9日シェルターの意匠登録(第1640335号)
■ 様々なリクエストに応えるオーダーメイドにも対応。ご相談下さい。
 例1:リモートワーク・オフィス/扉施錠でセキュリティ
 例2:オーディオルーム・楽器演奏室/防音防振で遮音
 例3:自宅介護室/便器洗面用配管&防水二重床
 例4:ガーデンルーム/防水外壁&屋根と窓ペアガラスの屋外仕様
 ※上記の場合、いづれも気密性が高まるので、換気装備を設けて室内を静圧に保ちます。
■ 工務店・販売協力店への販売も可能です。
 製品名『命守』以外にも『テレワーク・シェルター』、『ワークキャビン』、『森のシェルター』など
 販路に合わせたセールス用の改名も可能ですのでご相談ください。「組立工程」を撮影編集した動画や、 
 「フレーム強度」を測る破壊実験の画像をまとめた、『販売協力店専用DVD』のデータも提供できます。
■ メルマガ読者特別価格 80万円
  加工済み部材価格です。施工費はご要望に合わせて別途お見積もり致します。
■ ご相談ご用命=市川総合設計室<青ヒバの会>=090-3229-5678 (市川)

写真:S氏邸(東京都豊島区目白)92歳の祖父のために区の助成金を利用、購入された耐震健康シェルター
「命守」は突然地震が来ても安心と喜ばれ、香りが良く寝心地も抜群との感想を頂いています。

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美術コラム「ゴッホの『オリーブの果樹園』」戸田 吉彦


V.W.V. Gogh『Olive Orchard』1889年 1965x2536mm オランダ クレラー・ミューラー美術館蔵 Public domain
 オリーブは春に白い花を咲かせ9月以降が収穫、今頃陽を浴び果実が育っている最中でしょう。
そのオリーブの実を搾り取るオリーブオイルは、イタリア料理の影響から日本にも普及しました。
紀元前5世紀にオリーブの木はアテネ以外にないとヘロドトスが記述したように、オリーブオイル
の輸出でアテネは栄え、ホメロスは、「黄金の液体」と呼ぶほど貴重でした。やがてオリーブの
木は地中海沿岸諸国へ広がり、現在は世界中で植樹されていますが、今も総生産の98%が地中海
沿岸諸国に集中しています。油を意味する英語のオイル(Oil)もイタリア語のオリオ(Olio)も
オリーブ(Olive)と同じ語源から来ています。

 さて、ヴィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ(1853-1890)の『オリーブの果樹園』は、
昨年6月にご紹介した「糸杉」と同様、プロヴァンス療養所に滞在の1年間に描かれた約150枚の
中の一枚で、現存する15枚の「オリーブの木」の連作に含まれます。特に今回取り上げた絵は、
斜面に生える濃緑色のオリーブの木が、陽光の下で風にそよぎ、合間に銀色の葉裏が見える様子が
活き活きとしています。ゴッホは「向日葵」や「糸杉」など連作が多く、同一テーマを描く画家は、
レンブラントの自画像やフェルメールの室内の女性像のように決して珍しくありません。しかし、
一定期間に同じモチーフを繰り返す連作は、モネの「積みわら」、ドガの「踊り子」、セザンヌ
の「セント・ヴィクトワール山」のようにゴッホが影響を受けた印象派の特徴です。彼らが日本の
北斎の、『冨嶽三十六景』や『北斎漫画』に影響を受けたことも今や定説ですが、ゴッホもまた
北斎に感動し激賞しましたから、同じように新しい発見を期待し、次々と連作に挑戦していたと
考えられます。例えば強い輪郭線や影がない表現は西洋画の伝統になく、浮世絵の影響です。

 「オリーブの木」を画題に選んだ動機は、南欧プロバンスに広がっていた事の他、女神アテネ
が手に持つ「知恵」や「勝利」の象徴から、ギリシャで月桂樹と同じく古代競技の勝者に与える
冠となった事、旧約聖書のノアの方舟(箱舟)の故事で、神の怒りの大洪水の後にノアが放った
鳩がオリーブの枝を咥えて戻ったので、「平和」の象徴となった事などが思い浮かびます。
しかしゴッホの「オリーブの果樹園」では別の観点が、弟テオへ宛てた手紙の内容から指摘され
ています。それは新約聖書に記されたキリストが、福音(山上の垂訓)をエルサレムのオリーブ山
で人々に伝え、最後の晩餐の後でも、捕縛され十字架に架けられる事を予見して、オリーブ山の
ゲッセマネ(オリーブ油を絞る意)の園で神へ祈りを捧げた事と関連しています。日本では馴染み
のない故事ですが、西欧ではよく知られ古くから祭壇画や宗教画のテーマでした。ゴッホの時代
にはすでに絵画は宗教から独立していましたが、同時代のゴーギャンらもまた苦しむキリストの
姿を、画題として取り上げました。しかしゴッホはその絵を精神的な深みがないと批判し、また
「ゲッセマネの園を参考にしなくとも苦痛は表現でき、人物がなくとも心の平安は描ける」とも
手紙に記しています。牧師の家に生まれ、牧師になろうと思った事もあるゴッホの前半生が思い
起こされますが、光の視覚現象や造形的発見を求める同時代の画家には、「絵で人を救いたい」
と語るゴッホの宗教的な野心は、理解できなかったでしょう。ゴッホが絵に注いだエネルギーや
情熱は、時代を経て今は宗教や民族に関係なく、人々に感動を与えています。
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・オリーブ(英・仏: olive)モクセイ科オリーブ属(学名:Olea europaea)。起源は明らかでないが、考古学的には
地中海沿岸や北アフリカで発見されたオリーブの木の化石から、紀元前1万年頃発生、栽培は約6千年前に中近東付近で
始まったと推測される。紀元前2世紀頃ローマ帝国の拡大と共に普及。後にアラブの西欧侵攻でスペインのオリーブ産業
が飛躍的に伸び、南部アンダルシア地方のオリーブがヨーロッパ各地へ輸出。16世紀スペインの南米進出と共に新大陸
へ伝わり、メキシコやカリフォルニアへ拡散。日本は1878年に政府が海外有用植物とし、神戸北野ホテル近く諏訪山に
「神戸阿利襪(オリーブ)園」を作り栽培に成功。実の塩漬けとオリーブ・オイルを生産したが、市街の拡大と共に
1908年オリーブ園を閉鎖。日本最初のオリーブの木は記念樹として神戸市湊川神社に移植され現存する。次に小豆島で
政府はオリーブを栽培、1910年成功。現在香川県を始め全国で栽培。神戸のオリーブ栽培は長く途絶えていたが、
2018年、「神戸オリーブ園復活プロジェクト」が神戸市押部谷町で始まり、オリーブ油も生産されている。オリーブの
葉は対生で表面はツヤのある濃緑色、裏面は白い産毛のような毛茸が生えた銀白色で風にそよぐと美しい。樹齢は長く
南ヨーロッパでは数百年を越える樹も少なくない。材質は硬く重く密で傷が付きにくく、油分多く耐久性があり、装飾
品やまな板などの調理道具やスプーンなどの食器に使うが、木製品としては高価。材の色は黄白色から黄褐色で褐色の
墨流しのような模様がある。「橄欖(かんらん)」の字を当てる時があるが、橄欖は熱帯原産のカンラン科でオリーブ
の樹とは全く異なる。原因は橄欖の実の塩漬けを、英語で chinese olive と称したことからの誤訳といわれる。

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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:

日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4 メルマガ・バックナンバー:
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http://www.morinoekihatsu.net/merumaga.html

5「フェイスブック」の発行:
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6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
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