メルマガ155

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森の駅発メルマガ NO.155
2022 July 文月
7月の二十四節気は半夏生(7月2日)と土用(7月20日)です。7月18日は海の日、土用の丑は7月23日。

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術コラム「ロイスダールの『The Great Oak』」戸田 吉彦
山小屋通信「スイスの木こり人形」大森 明
製品案内「耐震健康シェルター『命守』」市川 皓一

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美術コラム「ロイスダールの『The Great Oak』」戸田 吉彦


J. V. ロイスダール『The Great Oak』1652年 86.4x106.7cm ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵 Public domain
対角線の強い構図ですが、樹の下のハイライトへ視線を誘導する斜めの斜線を左右に作り、三叉路の左で池を渡る乗馬
の貴人と羊を追う右の男女に鑑賞者の関心を誘います。左に座る男の服の赤は文字通り緑中紅一点の補色効果です。

 今月はヤコブ・ファン・ロイスダール(1628-1682)の『The Great Oak』をご紹介します。
ロイスダールは、レンブラントやフェルメールと並ぶオランダ全盛期の巨匠で、それまで軽視され
た風景画の地位を高め、大きな影響を残したことで知られています。平坦な地平線と大空のパノ
ラマ的な絵がよく紹介されますが、実はこのように近景・中景に焦点を当てた風景画も数多く、
特に樹木名「Oak(オーク)」を題名にした絵は、サイトで調べただけでも12枚あり、他の樹木
の絵は単に「森」とし、異なる樹木名は他にないことからもオークへのこだわりを感じます。

 オークは、日本ではカシ(樫)の木と理解され、かつて私もそう思っていましたが、正しくは

ブナ科ナラ属の木を指すということです(鳥飼玖美子『歴史をかえた誤訳』新潮社)。ご承知の通りカシ
の木は常緑樹、ナラ(楢)の木は落葉広葉樹ですから。ロイスダールが描くオランダの植生域を
考えればこの絵はナラの木でしょう。一方で、両方ともブナ科の植物だからか、南欧に植生する
カシの木も「Live Oak」と呼び、他のヨーロッパ言語も同様とのこと。厳密な分類に基づく翻訳
を問う内容ではないので、英名『The Great Oak』(偉大なオークの意味)のままとしました。

 ところで先にご紹介した月桂樹のように、西洋には人が樹木に変化する神話が伝わりますが、
オークと菩提樹も有名です。それはゼウスがヘルメスと出た旅先のこと、旅人に姿を変えた二人
はある街に着き宿を求めますがどこも門前払い。しかし貧しい家の夫婦が迎え、精一杯もてなし
ます。ゼウスは神である身を現し、街を水の底に沈め夫婦の家を神殿にし、望みは何でも叶える
と約束します。老夫婦は驚き、今後は神殿で毎日神を讃え、最期は互いの死を見ないで済むよう
にして欲しいと願います。そして年老いたある日、体が樹皮に覆われ始めた二人は時が来たことを
知り夫はオークへ、妻は菩提樹へと一緒に変身しました。(Baucis and Philemon : Greek Mythology)
 菩提樹は花や葉の形から女性に、オークはゴツゴツと大きくそびえ、建材に相応しい硬さから
男性に例えたのでしょう。堕落した世界が水で滅ぼされる話は旧約聖書のノアの方舟を連想し、
いずれもその時代に広く知られた寓話です。当時オランダの静物画は、宗教的教訓を思い起こす
図像が描かれ、それが好まれ家の中に飾られた世相を考えると、教訓的寓話を思い起こす素養が
人々にあったこと、それを前提とした職業画家ロイスダールの意図が想像できます。実際オークの
絵のほとんどは水辺が描かれ、旅人や貧しい住民の姿が発見できる絵も複数枚見つけられます。
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・オーク(英: oak、仏: chêne、独: Eiche)ブナ科コナラ属(学名:Quercus)。ヨーロッパナラに代表される落葉樹
ナラの総称。アカガシ亜属もオークに含まれ合計数百種以上あり、亜熱帯から亜寒帯まで北半球に広く分布する。日本
では落葉樹はナラ、常緑樹はカシと呼ぶが、オークは両方含む(英語で特に常緑のカシを指す時は live oakと呼ぶ)。
ヨーロッパのオークの多くは、日本語でナラ(楢)と呼ぶ落葉樹で、常緑の樫は南欧に集中する。明治時代に落葉樹の
オークを樫と誤訳し今も混同される。材は加工し易く、欧米は家具やフローリング(床材)、ウィスキーやワインの樽
に使う。木肌は粗めの堅さで、木目が美しく虎斑(とらふ)模様が特徴。近縁種に北米原産のレッドオークやホワイト
オーク、樹皮をコルクにするコルクガシがある。ホワイトオークはウィスキー樽になる。競馬のダービーをオークスと
呼ぶのは、ロンドン郊外エプソム競馬場のオークス (Epsom Oaks) で行われるからだが、創設者ダービー卿の義理の伯
父がエプソムに邸宅を構えた時、庭の大きなオークにちなみその地をオークスと名付けたことから来ている。
・日本のナラ(楢)ブナ科、コナラ亜科、コナラ属、コナラ亜属のうち、秋に葉が茶色に変わる落葉広葉樹。英語名
オーク(oak)。ヨーロッパナラは数世紀に渡る長命で、リトアニアの樹齢1500年やデンマークの1200年の木があり、
そのため記念樹や街路樹としてドイツから広島記念公園に、日英同盟100周年にはイギリスから全国200箇所に寄贈。
日本自生種ではクヌギ、ナラガシワ、ミズナラ、 シノニム、カシワ、コナラ、アベマキがあり、コナラやクヌギは照葉
樹林帯の常緑広葉樹林に現れ、シイ・カシの照葉樹林が繰り返し伐採されると武蔵野のようにナラ属優占の森となる。
コナラは寒い温帯にも広がり木炭の材料となり、このような森を里山と呼ぶ。ミズナラはブナ林に混じり温帯の落葉広
葉樹林を構成する。漢字の楢をつくる酋(おさ)は、酒壺から香気がもれる様を表す象形文字で、酒造りの長(おさ)
を意味し、酒樽に使われる材のミズナラに特にふさわしい。
・日本のカシ(樫)ブナ科の常緑高木の総称、特にコナラ属の常緑種をカシと呼ぶ。常緑性で葉の表に艶があり大概の
葉の縁には鋸歯がある。カシは照葉樹林を作る重要な木で、アカガシ亜属は日本・台湾・中国南部・ヒマラヤの温帯南
部など湿潤地域に約150種が分布し、日本では関東より南、一部は宮城県、新潟県に分布。コナラ亜属の常緑性カシは
温暖でやや乾燥した地域に多く、アジア、南欧、米大陸に分布。アラカシ(粗樫)は西日本、ウバメガシ(姥目樫)は
海岸、アカガシ(赤樫)はブナ林の近くに多く見られる。花はカシもナラも風媒花で晩春から初夏に咲き、雌花も雄花
も花びらがなく、雄花穂は下に垂れて揺れ花粉を落とし風に乗せる。同じブナ科の常緑高木でも秋に小花の穂をつける
マテバシイ属のシリブカガシには、英名「Japanese oak」の名がある(マテバシイ属はドングリの皮が硬くストーン
オーク[Stone oak]の名もある)。さらにシイやマテバシイは黄色い花と強い香りで虫を誘う虫媒花で、虫が止まれ
るよう雄花穂は上を向く違いがあり、分類・整理が悩ましい。樫は漢字で木偏に堅と書くように堅く粘りがあり、強度
と耐久性に優れ建材は欄間や敷居、土木は鉄道枕木や橋、道具ではハンマー、スコップ、鍬、杵の柄、和太鼓のばち、
山車の舵を取る梃子、木刀、杖、棺桶の材とする。防音機能があり(防音樹)、他の樹より燃え難く火災の延焼を防ぐ
目的から民家の垣根に使われ、常緑樹なので防風林にもなる。

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山小屋通信「スイスの木こり人形」 大森 明


はるか1980年代の昔にさかのぼるが、一回だけスイス山岳地方を旅したことがある。
山好きな人間なので日本の山にはテント装備で登るが、雪山には登らないし、
ザイルを担いでいくようなロッククライミングもしない。
そんなレベルだが、雪と氷をまとった岩峰アイガー(標高3970m)の切り立った北壁を
見上げた途端、そこで犠牲になった登山家のこと、ほぼ直登のルートを開拓した日本隊のこと
などを思い出して背筋がピンとなった。

スイスの山々を満喫後、帰りに現地のお店で「木彫りの木こり人形」を購入した。
つば付き帽をかぶった髭モジャのおじさんがリュックを背負い、大きなノコギリと斧を
肩にかけている人形だ。色は焦茶でノミでザクザク削った痕がある素朴な人形で、
日本に帰ってからずっと部屋に飾ってきた。

先日その人形を床に落とし、帽子のつばが欠けてしまった。
欠けた断面を見て愕然。なんと木製でなくプラスチック製だったのだ。
木彫り風に成形・切削し、焦茶の塗料を塗って木質感を出していたので、
勝手に木製と思い込んでしまったわけだ。

日頃から木にこだわっている手前、木製でないことを見抜けなかったのは一生の不覚!
せめて欠けた部分は木片を継いで修復し、何とか木材比率2%程度の人形にした。
アイガー北壁の厳しさを実際に見て感じ、自らのチェック力不足も露呈したスイスの山旅だった
が、赤や緑の可愛らしい登山電車、ユングフラウヨッホ駅(標高3454m)の展望デッキから見た
氷河、雄大なアルプスの山々に囲まれた緑の牧場散策など、夢のような時間を過ごした旅だった
ことに変わりはない。

そういえば、アルプスの山々に囲まれた牧場や草原は静寂そのもので、
時々カウベルの音がカランコロンと聞こえる。そして向こうからハイジ風の小さな女の子が笑顔
で走ってきたと思ったら、それは日本から同行した女性だった。また行く機会があれば、
ハイジは別として今度こそ木製の人形を手に入れたい。(写真:大森 明)

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森の駅推進協議会・健康住宅研究会/設計・開発の「防災シェルター」
「日本の森林資源を活用する」耐震・健康・独立空間=『命守』は
SDG’s「持続可能な経済活動」の観点からも評価されています。


■ 平時は書斎や寝室に用い、災害時はそのまま避難・滞在の「独立空間」。
■ 阪神淡路大震災級の強振を連続4回繰り返す「公的耐震実験」を1回で通過した「耐震強度」。
■ 「公的機関が認可」した安心と信頼の優良設計で、「全国自治体補助助成金制度対象」。
■ 国産杉、ヒノキ、青ヒバなどの無垢材を使うので、「樹精の抗菌性」がストレス緩和。
  脳を活性化し集中力や記憶力に良いエビデンスがあります(九州大学院の実験報告)。
■ 設置面責は通常の木造住宅で約「3.2帖」。マンションに設置すれば「山小屋気分」満喫です。
■ オーダーメイドで様々な仕様に展開できます。
 例1:リモートワーク・オフィス/扉施錠でセキュリティ
 例2:オーディオルーム・楽器演奏室/防音防振で遮音
 例3:自宅介護室/便器洗面用配管&防水二重床
 例4:ガーデンルーム/防水外壁&屋根と窓ペアガラスの屋外仕様
 ※上記の場合、いづれも気密性が高まるので、換気装備を設けて室内を静圧に保ちます。
■ 公的機関が防災シェルターに認定
 平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅の「耐震改修工法・装置」認定。
 都内17区8市で設置に助成金制度の対象。・都内耐震キャンペーン三年連続出展。
 全国自治体の建築指導課及び建築防災課から「命守」の補助助成に関して認定する旨通知。
 東京国際展示場リフォーム展連続出展。・令和元年8月9日シェルターの意匠登録(第1640335号)
■ 工務店・販売協力店への販売も可能です。
 製品名『命守』以外にも『テレワーク・シェルター』、『ワークキャビン』、『森のシェルター』など
 販路に合わせたセールス用の改名も可能ですのでご相談ください。「組立工程」を撮影編集した動画や、 
 「フレーム強度」を測る破壊実験の画像をまとめた、『販売協力店専用DVD』のデータも提供できます。
■ メルマガ読者特別価格 80万円
  加工済み部材価格です。施工費はご要望に合わせて別途お見積もり致します。
■ ご相談ご用命=市川総合設計室<青ヒバの会>=090-3229-5678 (市川)

写真:S氏邸(東京都豊島区目白)92歳の祖父のために区の助成金を利用、購入された耐震健康シェルター
「命守」は突然地震が来ても安心と喜ばれ、香りが良く寝心地も抜群との感想を頂いています。

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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4 メルマガ・バックナンバー:
「森の駅発」メルマガのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
http://www.morinoekihatsu.net/merumaga.html

5「フェイスブック」の発行:
「森の駅発」のフェイスブックでも発信。仲間を募集しています。
https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
http://www.morinoekihatsu.net/

○● メールアドレスの変更、メルマガの解除はこちらまで。
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