メルマガ154

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森の駅発メルマガ NO.154
2022 June 水無月
6月の二十四節気は、芒種(田植え時、6月6日)と夏至(1年で最も日照時間が長い日、6月21日)です。

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山小屋通信「槍ヶ岳」大森 明
美術コラム「ミュシャ『スラブ叙事詩』の菩提樹」戸田 吉彦
製品案内「耐震健康シェルター『命守』」市川 皓一

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山小屋通信「槍ヶ岳」 大森 明


夏山シーズンに向けて山の話しをひとつ披露したい。
わが山小屋登山隊が登った山の中でも、槍ヶ岳(標高3180m)は特に印象深い。まずその独特の
尖った形。遠くから眺めても一際目立つ尖り方でご存知の方も多いと思う。まさに槍の穂先だ。
2006年に登ったのは上高地から槍沢を経て槍ヶ岳へ向かうルートで、途中で槍の穂先がだんだん
見えてくると、胸が高鳴ったのを覚えている。
槍ヶ岳直下にある槍ヶ岳山荘まで来て、岩の壁を見上げると少し気持ちがひるんだが、3点支持で
進めば大丈夫と言われ、必死に仲間を追って岩にへばりついた。すると後続の登山者がどんどん
来るので、怖さを感じる前に進まざるをえない。何とか登頂できた。
山頂からの眺めは圧巻で、3000m超の岩峰の先端だけに高度感もすごい。達成感も半端でなく、
いまだに槍ヶ岳を眺める機会があると、槍の穂先を見ながら「あそこに登ったんだ!」と思う。
そういえば途中にある岩峰「小槍」の上で(「アルプス一万尺」の歌のようには)アルペン踊りが
できないことも、実際に見てよくわかった。
下山後、若い頃に登山をやっていた父に、撮影した槍ヶ岳の写真を見せたところ、父が1962年に
槍ヶ岳に登った時の写真を嬉しそうに出して見せてくれた。まず偶然同じルートで登ったことに
驚いたが、さらに同じ場所かつ同じ構図で撮影した写真があり、またびっくり。
しかも新旧写真を並べてよく見ると、転がっている岩石の配置がほとんど変わっていない。
ほぼ半世紀、よくぞ雨風雪の影響や人間の仕業で動かなかったものだ。
山のゆったりとした時の流れをあらためて認識することができた。(写真:大森 明)

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美術コラム「ミュシャ『スラブ叙事詩』の菩提樹」戸田 吉彦


『スラブ叙事詩』より、左 No.18「スラブ菩提樹の下で行なわれるオムラジナの誓い=スラブ民族の復興」、右 No.20
「スラブ民族の賛歌=スラブ民族は人類のために(部分)」~題名は2017年ミュシャ展の図録に従う~

『スラブ叙事詩』は、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)が祖国チェコのために制作した
20点からなる壁画様式の連作です。各作品の高さは4メートルから6メートル以上あり、スラブ
民族が体験した他国からの侵略と略奪、異民族の支配、混乱と内戦、宗教戦争など、3世紀から
20世紀初頭までの苦難の連続が描かれ、いま進行中のウクライナの戦禍を思い起こします。

 その中で「スラブ菩提樹の下で行われるオムラジナの誓い」と「スラブ民族の賛歌」だけが、
希望と喜びの絵です。ひとつは題名にも菩提樹の名が記され、もうひとつは展覧会やWikipedia
などの作品解説によれば菩提樹の枝が描かれています。他の悲惨な作品にはない菩提樹なので、
この絵を鑑賞するヨーロッパの菩提樹の解釈や意味が気になりました。日本で菩提樹といえば、
釈迦がその下で悟りを開いたことから菩提の名が付き、無憂樹、沙羅双樹と共に仏教三大聖木の
ひとつです。だがヨーロッパの菩提樹(*1)はインド菩提樹(*2)と種類が違います。ハート型の
葉と、初夏に咲く花の甘い香りに特徴があり、この樹の下で集会や宴が催され、シューベルトの
歌曲「菩提樹」や、若き日のゲーテが恋人の名を幹に彫る文化慣習もありますから、同じく神聖
な木と考え、種類が異なる菩提樹の名を和訳に当てたので紛らわしくなったのでしょう。

 この一方の題名にある「オムラジナ」は、普通選挙から民族文化の再興まで、広い範囲で民族
の主権と誇りを主張した若者達の会です。1894年に現れ、20世紀初頭に弾圧されますが、外国
に支配されたスラブ諸国の解放を目指す運動が高まった19世紀末、我が国の幕末の志士達のよう
に愛国的な活動をしました。ミュシャは彼らの決起を、菩提樹に座るスラブ民族の守護神である
女神スラヴィアと組み合わせ、悲惨な歴史を描く時の記録画ではなく、神話の世界として描いて
います。またこの絵はミュシャが自分の娘と息子をモデルに起用しているので、研究者から注目
されています。手前左で腰掛け竪琴を弾く少女と手前右の裸の少年です。しかしこの絵は未完の
ままミュシャの筆が止まり、生前開かれた2度の展覧会でも公開されませんでした。その当時に
激しく吹き荒れた政治情勢の中で、ミュシャは誤解と危険を避けたのではないかと言われます。

「スラブ民族の賛歌」は最後を飾る作品です。オーストリア=ハンガリー帝国から独立した祖国
チェコと、第一次世界大戦後独立するヨーロッパ諸民族国家を象徴した古代神話の神を中心に、
歴史上の偉人を配し、スラブ民族衣装の女達が編む花束と平和の鳩、祖先の苦労を讃える次世代
の少年達が描かれています。長い犠牲の後のスラブ民族の平和は人類の手本に、というミュシャの
想いが、副題「スラブ民族は人類のために」に込められています。壮大なテーマと多くのモチーフ
が複雑に組み合わされ、見る者を飽きさせません。大画面でお見せしたいところですが、ここで
はテーマの菩提樹に焦点を絞り、一部を拡大しました。枝の背後に見える亡霊のような人々は、
その制服から第一次世界大戦で犠牲となった、外国人部隊の兵士達と思われています。

 ミュシャは19世紀末のパリでポスター作家として活躍し、アール・ヌーヴォーの華と謳われて
いましたが、祖国のためにも絵を描きたいと常々願っていたようです。1900年開催のパリ万博で
ボスニア・ヘルツェゴビナ館の内装を任された時、「残る人生を我が民族に捧げる誓い」を立て
ます。そして計画を実現する資金のため米国に渡り自ら出資者を探し、見つかるとバルカン半島
やロシア・東欧を取材、専門家に事実確認と準備も入念にしてから20年(1910年-1928年)に
渡り描き続けました。その執念から伝わるのは、祖国の苦難の歴史を悲しみ、戦争を憎み平和を
強く願う想いです。しかし画家としてミュシャの作品が注目され、多くの人が鑑賞できる場所に
展示されるのは21世紀になってからのことでした。最近はこの作品のための美術館の建設計画も
進んでいます。2017年に日本でも展覧会が催され、全20点の国外搬出は世界初のことでしたが、
巨大な作品を無事に運んだ日本の美術品輸送技術が注目されました。
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注:*1. ヨーロッパの菩提樹 欧米はリンデンバウム(Lindenbaum, Linde:独)、リンデン(Linden, European
linden:英)と呼ぶ。シナノキ科(APG分類 アオイ科)落葉高木。学名:Tilia × europaea L. 日本では西洋菩提樹や
西洋シナノキと呼んでいる。中国原産。ヨーロッパに広く分布、ベルリンの有名なウンター・デン・リンデン通りなど、
都市の街路や公園に植栽。高さ30~40メートル。葉は互生し円状卵形で先は短く尖り、縁に鋸歯(きょし)がある。表面
に毛はなく裏面の葉腋(ようえき)に毛がある。6~7月に淡黄色の花が咲く。芳香があり、同じシナノキ科の近縁別種の
ボダイジュ同様ミツバチが好む。実は卵球形で堅く、5本の筋がある。種子は日本のシナノキより大きく角張っている。
樹皮の繊維は衣類、編物、縄、網、籠、靴の素材に用い、材は漁具、楽器、彫刻になる。樹液からは糖分がとれ、花を
ハーブ・ティーにする。シューベルトの歌曲『菩提樹』は本種を指し、仏教に関係深いインドボダイジュ(クワ科)と
は別種。古代ゲルマン人やスラブ人は、ナラやモミの類と共に本種の古木を神の宿る木として神聖視し、ドイツはこの
下で裁判を行い村や町の象徴とした。地名のライプツィヒ(Leipzig)は本種の呼称(lipsh)から来ており、生物学者
リンネ(Carl von Linné)の姓の起源でもある。
注:*2. インド菩提樹  クワ科(APG分類 クワ科)常緑樹。学名:Ficus religiosa L. 別名で天竺菩提樹とも言う。
インド、スリランカ原産。葉は革質で表面は滑らか、長い柄があり先端が細長く伸び尾状になる。イチジク状の隠花果
がつき、径1.5センチメートルほどで暗紫色に熟す。日本には明治中期に渡来、温室栽培が望ましい。繁殖は挿木。釈迦
がこの樹の下で悟りを得たことで名高い。

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商品紹介「耐震健康シェルター『命守』」 市川 皓一


森の駅推進協議会の健康住宅研究会が開発した「防災シェルター」が、
「日本の森林資源を活用する」耐震健康シェルターの『命守』です。
SDG’s「持続可能な経済活動」の観点からも評価されています。

■ 平時は書斎や寝室に用い、災害時はそのまま避難・滞在できる「独立空間」。
■ 阪神淡路大震災級の強振を連続4回繰り返す、「公的耐震実験」を1回で通過する耐震強度。
■ 公的機関が認可した安心と信頼の優良設計で、「全国自治体補助助成金制度対象」。
■ 国産杉、ヒノキ、青ヒバなどの無垢材を使うので、「樹精の抗菌性」がストレス緩和。
  脳を活性化し集中力や記憶力に良いという、エビデンスがあります(九州大学院の実験)。
■ 設置面責は通常の木造住宅で約「3.2帖」。マンションに設置すれば「山小屋気分」満喫です。
■ オーダーメイドで様々な仕様に展開できます。
 例1:リモートワーク・オフィス/扉施錠でセキュリティ
 例2:オーディオルーム・楽器演奏室/防音防振で遮音
 例3:自宅介護室/便器洗面用配管&防水二重床
 例4:ガーデンルーム/防水外壁&屋根と窓ペアガラスの屋外仕様
 ※上記の場合、いづれも気密性が高まるので、換気装備を設けて室内を静圧に保ちます。
■ 公的機関が防災シェルターに認定
 平成29年度東京都市整備局認定/安価で信頼できる木造住宅の「耐震改修工法・装置」認定。
 都内17区8市で設置に助成金制度の対象。・都内耐震キャンペーン三年連続出展。
 全国自治体の建築指導課及び建築防災課から「命守」の補助助成に関して認定する旨通知。
 東京国際展示場リフォーム展連続出展。・令和元年8月9日シェルターの意匠登録(第1640335号)
■ 工務店・販売協力店への販売も可能です。
 製品名『命守』以外にも『テレワーク・シェルター』、『ワークキャビン』、『森のシェルター』など
 販路に合わせたセールス用の改名も可能ですのでご相談ください。「組立工程」を撮影編集した動画や、 
 「フレーム強度」を測る破壊実験の画像をまとめた、『販売協力店専用DVD』のデータも提供できます。
■ メルマガ読者特別価格 80万円
  加工済み部材価格です。施工費はご要望に合わせて別途お見積もり致します。
■ ご相談ご用命=市川総合設計室<青ヒバの会>=090-3229-5678 (市川)

写真:S氏邸(東京都豊島区目白)92歳の祖父のために区の助成金を利用、購入された耐震健康シェルター

「命守」は突然地震が来ても安心と喜ばれ、香りが良く寝心地も抜群との感想を頂いています。

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森の駅推進協議会は、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称して、
下記の活動を行っています。ご参照の上お役立て下さい。

1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まった
プロ集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
https://moriniaisareruie.jimdofree.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4 メルマガ・バックナンバー:
「森の駅発」メルマガのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
http://www.morinoekihatsu.net/merumaga.html

5「フェイスブック」の発行:
「森の駅発」のフェイスブックでも発信。仲間を募集しています。
https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

6「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については森の駅発のHPをご覧下さい。
http://www.morinoekihatsu.net/

○● メールアドレスの変更、メルマガの解除はこちらまで。
happysun9@gmail.com

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