メルマガ123

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「森の駅発」メルマガ NO.123 2019 November

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★「秋の東高根森林公園を歩く」大森 明
★ 山小屋通信 大森 明
 「杉の木で作る」
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「秋の東高根森林公園を歩く」 大森 明


秋晴れの11月4日、東高根森林公園(川崎市宮前区)で人と樹木の理想の関係を学ぶ、
野外勉強会を開催しました。講師は桜井尚武先生が引き受けて下さいました。
今回は、森の駅発の野外勉強会として画期的なメンバー構成になりました。
桜井先生の古くからの山仲間のお三方をお迎えし、
なんと可愛い幼稚園児(小林幹事のお孫さん)が加わり、
文字どおり老若男女の賑わいを感じられる一行です。

一行はまず丘陵下の谷沿いの遊歩道を進み、
キブシ、クマシデ、ムラサキシキブ、二ガキ、ケヤキなど、いろいろな木を見て歩きました。
二ガキという木は葉を食べると苦い、
クマシデの名は秋に枝からぶら下がる穂が神社のシデ(紙垂)を連想させるのが由来など、
桜井先生の説明に今回も引き込まれていきます。

個人的に大きな衝撃を受けたのはケヤキです。
時々見かける細い竹ボウキのような樹形は剪定した結果だと思っていましたが、
昭和になって細長い樹形になる種類のケヤキが育成されて流通したとのこと。
広角に枝を広げる従来のケヤキとは別の種類であることを、
半世紀以上も生きてきて初めて知りました。

遊歩道は谷合の田園・里山環境を再現した谷戸(やと)を辿る形になっていて、
環境に応じていろいろな花が楽しめました。
水辺のワスレナグサや森の中のサラシナショウマなどが綺麗に咲いていました。
先月まで綺麗に咲いていたカリガネソウは、花期を過ぎてやや残念な状態でしたが、
ちょうど先月スケッチ・彩色したものをその場でお見せして、
可憐な花を咲かせるカリガネソウの名誉挽回に努めました。
谷から湧き出る水が冷たいのでしょうか、
冷たい水を好むミツガシワも水面から顔を出していました。
谷戸の奥に進むに従って両側の丘陵や森が迫って谷は徐々に狭くなり、
つづら折りの坂を登って丘陵上の開けた芝生広場と古代植物園に出ました。

古代植物園ではコウゾ・ミツマタ・シナノキなど、繊維を布や紙に加工し利用してきた木、
クララやサネカズラ等の薬用植物が見られ、
昔から人が木をいろいろ活用してきたことが実感できました。
シナノキは欧米でもロープや衣料などに利用されるだけでなく、
蜜源や街路樹として地域に溶け込んで人々に親しまれており、
日本でも信濃の国は科野(シナノキが多い所)に由来するという説もあるそうです。
今までシナノキはベニヤ板で見かける白い綺麗な材という程度の知識でしたが、
人の生活にとって昔から重要な木だったことがわかり、認識が変わりました。

古代植物園を巡った後にシラカシ林に向かいました。
このシラカシ林は古代遺跡が眠る芝生広場を囲むように広がっているのですが、
これだけまとまったシラカシ林は今ではあまり残っておらず、
県指定天然記念物に指定されています。
傾斜地にある深い照葉樹林ですが、林内の散策路には、
木製の階段・手摺り・休憩用椅子など歩きやすく整備されています。
人は昔、このシラカシ林を伐採して農耕具などを作って生活し、
伐採後の二次林(コナラ・クヌギ等)の木は炭にして生活してきた、
という森と人との長い歴史の話しを桜井先生から伺い、
現代人と森の関係についてもふと考えてしまいました。
最後に休憩所でコーヒータイム。
好天にも恵まれて今回も有意義な勉強会となりました。
次回も楽しみです。(文・写真:大森 明)

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 11月の野外植物観察会は、大森氏が野草スケッチで訪れよく知る神奈川県立東高根森林公園を提案され
 桜井先生にご相談方々、園内の樹木草花についてのご講義をお願い致しました。

 今年はじめ櫻井先生にご相談して始まった都内近郊の野外観察会は、4月の桜の季節の皇居東御苑、
 6月の小石川植物園、8月の昭和記念公園と、明治以降の熱心な植物と環境の研究を肌で感じながら、
 アカデミックで王道的な学びを、直に樹木や草花に触れつつ学べる機会となりました。
 11月の東高根森林公園で今年は終了し、来年は3月から同様に継続して行きたいと思います。
 今年訪れた場所も季節が変われば異なる趣と学びの場になりますので候補に入れつつ、
 新しい場所もすでに桜井先生から3月のご提案を頂いております。どうぞお楽しみに。(編集部)

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山小屋通信 大森 明

「杉の木で作る」


野菜や肉などの食品は地産地消を掲げる組織から宅配で入手しているが、
木工や内装に使う材木は諸事情で大工センターで購入せざるをえず、地産地消とはいかない。
大工センターでは輸入木材にも手を伸ばしそうにもなるが、
せめて国産でと考えて追加調達も容易で価格が手頃な杉材に行き着くことが多い。
杉と聞くと花粉症の方々は嫌な印象かもしれないが、
山小屋の内装板壁・自宅出窓の天板・自作の絵を入れる額縁などに杉材を使って重宝してきた。
端材も鍋敷きや木箱などになって活躍している。

中でも山小屋の室内には長さ約1m80cmの杉板(荒材)を磨いてからびっしり貼り付けた。
仲良しの大工さんから「この板は暴れる」と聞いていたが、
確かに浮き上がったり反ったりしている。
ただし下地にコンパネが貼ってあり、隙間にカメ虫やテントウ虫が越冬目的で入りこむ程度で、
隙間風が入る心配はない。
むしろ荒材を磨いて味わいのある木目が出ると何だか嬉しい。
色も赤みが強いもの、白味が強いものなど、板毎に個性的で面白い。
表面がスベスベになるまでカンナがけすると、
なまった腹筋と足腰には辛いが、杉の木の香りが心地良い。
夜は一杯やりながら木の香りをかぎ、壁の木目と語らうのも楽しい(飲み過ぎ注意)。

額縁については、杉材が反ってもサイズが小さいので問題は少ない。
むしろ軽くて柔らかいので、加工しやすく、額縁の軽量化も図れる。
注意点は割れやヒビが入らないようにすることと、
ネジや釘を打つ場合はフシが接合部分に来ないようにすること。
最近、接合がなければ楽なのではないか!と考え、
幅広の杉板を大きめのまな板くらいにカットし、
四角い窓をくり抜いて額縁にしてみた。
確かにつなぎ目のフシや直角を出すことに気を使わずに済む。
加工時間も節約できた。最後に軽くオイルフィニッシュし、
最近描いた植物画を入れて地元の作品展にも出品した。
壁にかけてみると和の雰囲気を醸し出している。
こうなると床の間に掛けてみたいが、住宅事情の関係で我が家には床の間が無い。残念!

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編集後記

■ 先月ご案内しましたが、日本で唯一の全国各地の国産材が集まる祭典が12月にあります。
全国各地の国産材が集まる日本唯一の木の祭典!!「WOODコレクション(モクコレ)令和元年」
会期:令和元年12月10日(火)12月11日(水) 会場:東京ビッグサイト 南3-4ホール
入場無料(登録制) 主催:東京都 運営:WOODコレクション(モクコレ)実行委員会
後援:林野庁 (一社)全国木材組合連合会 全国森林組合連合会 (公社)国土緑化推進機構 
事前来場登録受付中です。事前登録ページは下記。事前登録者には入口でノベルティ用意。
https://reg31.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=rfs-lbojqh-57c5c6942372b640df733c32cf2f6e8b

展示の見どころは、https://mokucolle.com/highlight/ 特設サイトは、https://mokucolle.com/
お問い合わせ先:WOODコレクション(モクコレ) 令和元年 運営事務局(株式会社博展 内)
TEL:03-4577-9064(平日10:00~18:00 ※12:00~13:00を除く)

■ 秋は食欲、スポーツ、読書、芸術と楽しみも多々ある一方、台風被害も大きい年でした。
野外勉強会で訪れた森の出口で「犬塚勉」という既に亡くなった風景画家の個展案内を見ました。
精緻に描かれた山や木立の絵は米国アンドリュー・ワイエスを思い起こすような誠実な絵でした。
「風景が絵になる」と題する展覧会は10月12日~12月15日まで川崎市民ミュージアムで開催予定
でしたが、残念ながら台風19号の影響で現在休館中との事、被害の最小化と再開を願っています。
         通常休館日/毎週月曜日 観覧料/一般700円 65歳以上・大・高校生500円・中学生以下無料 
         アクセス/JR・東急「武蔵小杉」駅北口1番乗場からバスで約10分「市民ミュージアム前」
          http://www.kawasaki-museum.jp/ TEL.044-754-4533 開館時間9:30~17:00

全国美術展情報サイトも多々あり、調べてみると見たい展覧会の発見が近くにあるかもしれません。
参考までに都道府県から探しやすいサイトの一例をご紹介します。(編集部/戸田)
アートスケープ:artscape.jp/exhibition/exhi_schedule.php ( 大日本印刷グループの運営です)。

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 森の駅推進協議会では、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称し、
 下記の活動を行っています。あわせてご参照の上お役立て頂ければ幸いです。

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1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まったプロ
集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
       http://www.moriniaisareruie.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4「フェイスブック」の発行:
森の駅発のフェイスブックでも発信しています。仲間を募集しています。
       https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

5「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については、森の駅発のHPをご覧下さい。
       http://www.morinoekihatsu.net/

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