メルマガ122

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「森の駅発」メルマガ NO.122 2019 October

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★「感性的空間開発に関する調査報告書・五感とデザイン」(平成5年度 東京都労働経済局) から
 「自然素材に注目した住まいづくり」編集部 
★ 山小屋通信 大森 明
 「山小屋登山隊~北沢峠から仙丈ヶ岳へ」
★ 次回野外学習会のご案内 大森 明
 「11月4日(祝)神奈川県立東高根森林公園」
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「感性的空間開発に関する調査報告書・五感とデザイン」(平成5年度 東京都労働経済局) から
「自然素材に注目した住まいづくり」


ここに26年前の一冊のレポートがある。東京都が「社会、経済の著しい変化にともない生活全体の質を高めていくに
は、環境そのものを人間の五感になじむものにつくり変えていく必要がある」とし、各分野の調査と意見聴取をして
まとめた報告書である。環境とは、とりも直さず生活空間を意味している。
第1章「五感と空間デザイン」いまなぜ五感に注目するのか?と問いかけ、基本認識を定める。
第2章「生活者アンケート調査」居住・就業・商業に分けて生活空間の意識を探る。
第3章「伝統的空間にみる五感とデザイン」伝統的住宅から学ぶべきシステムや工夫を紹介。
第4章「近年の空間開発事例にみる五感とデザイン」居住、就業、商業など事例紹介。
第5章「専門家の取り組み」専門家に行ったアンケートの内容紹介。専門家の意見や提言。
第6章「これからの空間開発に向けて」
古くから日本人にとって五感に最も身近な素材が木材であり、五感を磨くにも木材が大きな役割を果たしている
ことが、既に官民の統一見解として指摘、紹介されている。
令和が始まるこの年、平成の初めに編纂された戦後の生活空間に関する抱負を知ることは、
あらためて現実的な未来へ向けての礎になるのではないだろうか。
ところでこの中で「居住空間」の五感とデザインについて、森の駅推進協議会幹事の市川皓一が専門家として
アンケートに答え(5章)、活動と知見が紹介されている(4章)。
住宅分野における紹介は、積水ハウス・納得工房(住宅メーカーでの開発事例)と、
建設省建築研究所(パッシブソーラー住宅の考え方)と、
市川が代表を務める青ヒバの会(自然素材に注目した住まいづくり)の3例だけだ。
四半世紀前の当時と今とでは変わっていることも多々あり、またスペースの関係から全てを紹介出来ないが、
便利で機能的な住まいが理想の時代に、木の住まいづくりを推進した青ヒバの会の活動が、客観的に報告された
このレポートの目指すイメージや趣旨が伝われば幸いである。原文のまま第4章から紹介。
写真は市川皓一氏設計住宅(編集 戸田)。

 工業化工法による住宅が大きな社会的シェアを占めているなかで、それと対象的に、建築家・
施工者・ユーザーの三者がネットワークを組み、木材の流通システムを含めて在来の住宅づくり
を見直す、いくつかの「住まいづくりネットワーク」の活動がある。
 その中から、青森ヒバという素材を通して人間の五感と住宅のかかわりを追求している、
「青ヒバの会」代表の市川皓一氏(市川総合設計室)から話を聞いた。青森ヒバという独特の木
材を使った快適な住まいづくりを提唱している「青ヒバの会」は、設計はもとより施工、材木の
供給から設備・建具といった専門業者まで一環したネットワーク体制で住まいづくりを進めてい
る。青ヒバは青森県の国有林から産地直送してコストダウンを図っており、ユーザーとの接点と
して、ヒバ林への森林浴ツアー、住まいづくりセミナー、見学会、イベントなどを開催している。
〔青ヒバという素材へのこだわり〕
 自然な五感を呼び戻し、感性を育てるには、いまの家づくりの主流を占めているような合成材
ではなく、節のある自然の木材を使った自然な視覚環境を取り戻さなくてはならない。青森ヒバ
(ヒノキアスナロ)は、木目が美しいだけでなく、ヒノキチオールという抗菌・防虫効果の高い
油分を含有するため、シロアリも寄せつけず、独特の強い香りを放つ。またカビの繁殖も防ぐの
でアトピー性皮膚炎などを抑える効果もある。青森県出身ではない市川氏がこの素材に出会い、
こだわり、住まいづくりの会として「青ヒバの会」を提唱したきっかけは、このような青森ヒバ
の特性にある。
〔木造の家、青ヒバの家の五感特性〕
 一般に木材は有害な紫外線を吸収する。木造の家が好まれるのは、知らずしらずのうちに人間
にとって快い光を選択してきたためではないか(ヒバは太陽光を受けて3年くらいで眼にやさしい
飴色になる)。
 青ヒバの香りは人を気持ち良くさせる。データー的には確かめにくいが、香りがストレス緩和
に役立つと言われている。
 コンクリートの家では遮断されてしまう自然界の超高音が、気の家では聞こえる。鳥の鳴き声
の自然な超高音が感知できる。
 ヒバは触れたとき暖かくフローリング材としても良い。現在使われている通常のフローリング
材は合板、あるいは広葉樹系の堅木であり、ヒバよりもキズはつきにくいが非常に冷たく触感が
悪い。
〔住宅の温熱環境について〕
 高温多湿の日本では温感が快適感につながる。一定の温感幅を持った温熱環境は木材によって
も維持できる。
 現在のような高密度居住では高気密高断熱の家になっていくケースが多いが、呼吸をともなう
素材で構成することを考えると、蒸れてしまってはいけない。そこそこの通気が必要になる。
〔実際の住宅での工夫〕
 心地よい温熱環境を保つ補助手段として、床暖房を採用した例がある。
 風呂場にもヒバを使用することによって、香りを楽しめる。
 カビやすい水まわりにも、ヒバが使える。
 木の呼吸のためにも、風の通り道をつくることを心掛けている。
 壁にビニールクロスは使用しない。部屋によっては和紙を貼ることがある。
(以上、第4章 近年の空間開発の事例にみる五感とデザイン 2.居住空間 2-2.住宅の五感とデザイン 
    ③自然素材に注目した住まいづくり「青ヒバの会」より転載。)

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山小屋通信 大森 明

「山小屋登山隊~北沢峠から仙丈ヶ岳へ」


9月末、森と山に親しむ山小屋登山隊2名は南アルプス山麓のわが山小屋から
日帰りで仙丈ヶ岳(標高3,033m)に登ることにした。
日帰りといっても前夜に小屋に入り、翌朝に車でバス停に向かい、
始発バスで北沢峠まで行き、北沢峠から仙丈ヶ岳を往復登山、最終バスで帰還というプラン。

早朝始発バスを待っている時に雨が降ったが、北沢峠は晴れ。
但し昼から時々雨の予報なので早速、仙丈ヶ岳を目指して登山を開始。
北沢峠からはコメツガ・シラビソなどの樹林帯の登山道が続く。
日差しが木々にさえぎられ、森の心地よい香りにも助けられ、
ひたすら登って標高2,500mを超えるといっきに展望が開けた。

ここから仙丈ヶ岳まではハイマツと高山植物と岩のゴロゴロした尾根道がずっと続いている。
振り返ると甲斐駒ケ岳が目の前にそびえ、その向うには八ヶ岳。
右手方向には鳳凰三山。北岳や富士山も見える気持ち良い尾根道歩きだが、
だんだん雲が厚くなり、垂れ込めてきた。自然と歩くピッチがあがる。
ハイマツの繁る広い尾根道を進み、途中の小仙丈ヶ岳(2,855m)を超えると、
目指す仙丈ヶ岳が大きく見えてくる。
かつての氷河痕・カールもくっきりわかる。
昼前に頂上に辿りついて感激していると、登山道にガスがかかってきた。
雨もポツリポツリ。
やがて本格的に降ってきたのでザックカバーと防水ジャケットを装着し、
帰路は仙丈小屋から馬ノ背ヒュッテ経由で北沢峠までペースをあげた。

このため下山時に楽しみにしていた、ダケカンバやナナカマド等の紅葉見物や、
コケモモ等の高山植物撮影は省略。天気の良い時にリベンジしたい。
また、期待していたライチョウとの面会は叶わなかった。
地球温暖化でライチョウとハイマツの生育環境がせばまっていると聞いているので、
だいぶ減少しているのかなと思ったが、
ネット情報ではガスってからライチョウが登場したらしい(残念!)。

ところでハイマツは数十m以上も移動することがあるらしい。
風雪厳しい場所で少しでも良い生育環境を求めての移動だという。
そんなハイマツの生育する標高3千mの尾根に地球温暖化などの影響で、
他の動植物が迫ってきたら、必死に高い所に移動するということになるのだろうが、
ここより上は岩稜と空が広がっているだけだ。
ハイマツたちはどこに這って行けばよいのだろう。
ハイマツを住家にしているライチョウも同じだ。

下山後に下界で信州銘菓「雷鳥の里」を食べながら、
気候変動の影響で近い将来ハイマツやライチョウが滅びる時が来たら、
いつか人間も・・・と不安になる。

下界は10月で30度を超える蒸し暑い日だった。

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次回野外学習『11月4日(祝)』のご案内


人と樹木の理想の関係を都市や近郊の植物園から学ぶ野外勉強会シリーズ。
今回は神奈川県川崎市にある県立東高根森林公園で開催致します。
講師は桜井尚武先生です。


開催日:2019年11月4日(月・祝日)

開催地:神奈川県立東高根森林公園 (入園無料)  

集合場所・時間:JR南武線・武蔵溝ノ口駅改札前に10:00 am集合。 
 (集合後にバスで現地へ向かいます。)
参加料:無料

持ち物:各自で昼食・飲物・雨具をご持参下さい。

その他:当日の朝、現地が雨天の場合は中止とします。朝方小雨で午後に向けて晴れる
    予報であれば決行します。

お問い合わせ・参加申し込み先:メール morinoeki@gmail.com(担当:大森)
電 話 090-9156-1554 (担当:戸田)

現地は木道や遊歩道が整備され、四季折々の美しい風景で近隣住民の人気スポットです。
シラカシの自然林 (2.8ha) 、雑木林、谷戸に流れる湧水を利用した湿性植物園、弥生時代
から古墳時代の集落跡が地下に眠る古代広場、古代植物園など、見所満載です。秋の草花
も随所に見られます。
参加申し込みをお待ちしております。

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編集後記

今月は9月の台風15号に続き、観測史上最大と言われる台風19号に各地が大災害に見舞われ
ましたが皆様はご無事でしょうか。1日も早い復興とご健康を、編集部一同心より祈念申し上げて
おります。また、もしこの森の駅発メルマガ(月末1回発行)でお知らせしたいメッセージがござ
いましたら、次のメールアドレスまでメール文でお送り下さい。todayofmac@luck.ocn.ne.jp

当会でいつも野外勉強会の講師をして下さいます桜井尚武先生より国産材催事のご案内があります。

全国各地の国産材が集まる日本唯一の木の祭典!!「WOODコレクション(モクコレ)令和元年」
会期:令和元年12月10日(火)12月11日(水) 会場:東京ビッグサイト 南3-4ホール
入場無料(登録制) 主催:東京都 運営:WOODコレクション(モクコレ)実行委員会
後援:林野庁 (一社)全国木材組合連合会 全国森林組合連合会 (公社)国土緑化推進機構 
事前来場登録受付中です。事前登録ページは下記。事前登録者には入口でノベルティ用意。
https://reg31.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=rfs-lbojqh-57c5c6942372b640df733c32cf2f6e8b

展示の見どころは、https://mokucolle.com/highlight/ 特設サイトは、https://mokucolle.com/
お問い合わせ先:WOODコレクション(モクコレ) 令和元年 運営事務局(株式会社博展 内)
TEL:03-4577-9064(平日10:00~18:00 ※12:00~13:00を除く)

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 森の駅推進協議会では、日本の森林産業停滞の解決へ向け、森の駅発と称し、
 下記の活動を行っています。あわせてご参照の上お役立て頂ければ幸いです。

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1「市民フォーラム」開催:
日本の森と日本の森が産み育てる国産木材、それを活かす健康な住環境をはじめ、
生活者の目線で市民の皆様の理解をすすめる講演会を広範囲な視点から企画開催。
内容や開催日など当メルマガ(下記3)でお知らせします。

2「健康住宅/森の駅発」の活動:
日本の森を元気にする!住む人を元気にする!住まいづくりのため集まったプロ
集団が「森に愛される家」を普及します。イベント情報もお届けします。
       http://www.moriniaisareruie.com/

3「メールマガジン/「森の駅発」メルマガ」発行:
フォーラムや研究会のお知らせを、原則として毎月1回発行しています。
このメールマガジンのお問合せはこちらまで:happysun9@gmail.com

4「フェイスブック」の発行:
森の駅発のフェイスブックでも発信しています。仲間を募集しています。
       https://www.facebook.com/健康住宅森の駅発-110930398990272/

5「ホームページ」の掲載:
上記の実績や森の駅推進議会全般については、森の駅発のHPをご覧下さい。
       http://www.morinoekihatsu.net/

○● メールアドレスの変更、メルマガの解除はこちらまで。
       happysun9@gmail.com

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