単に木造住宅であるということだけではなく、ここでは木造空間の人間の五感を刺激することの意味を考えます。
視覚環境:
住宅の内装を無垢(丸太を削ったそのまま)の木材で仕上げると、木の木目が“1/fゆらぎ”になっていて、暖かい雰囲気を演出し、癒しを促進します。
また木材は紫外線を吸収し、木材の微細な凹凸が光の乱反射を生むことで眼精疲労から開放されます。
室内環境で最も光を受けるのは床ですが、無垢のフローリングにし、傷を防ぐための塗装も半艶程度にすれば、気持ちよい居住空間となります。
聴覚環境:
脳に心地よいのは超高音を含めた音ですが、自然界の音にはこれが含まれています。
コンクリートの部屋に入ると超高音が遮断されてしまいますが、木の家では聞こえます。
音の反響も壁材の効果とも組み合わせることで心地よい居住空間が作れます。
嗅覚環境: 木材には固有の香りがありますが、製材時に高温乾燥で油分をとばしてしまわない限り、森の中にいるような心地よい居住空間となります。
ただし木材を使用した場合でも、合板や集成材の接着剤に含まれる化学物質のにおいが人を不快にしたり、気がつかないうちに吐き気や頭痛の原因になったりします。
触覚環境:フローリングにした場合、部屋が寒くても足裏に触れた感覚が暖かい感じがします。
特に青ヒバや杉、桐などは顕著です。 広葉樹のけやきやなら、桜などには見られないものです。
温感が快適感につながります。
味覚環境:特に嗅覚と密接につながっており、心地よい居住空間は食欲に影響を与えます。
このほか、無垢の木には調湿効果が高く、生身の人間が発する汗や生活の中で発生する湿気や熱気を受け止め、必要に応じて調湿するという優れた性能を持っています。