不十分なシックハウス法

2003年のシックハウス法施行後もシックハウスは減っていません。
なぜなら住宅に使用されている化学物質は500物質弱なのに、この法律で規制されたのはたった2物質。
しかも禁止されたのは、シロアリ防除剤に使われたクロルピリホスのみで、合板や接着剤、壁紙、塗料などに使われるホルムアルデヒドは使用量を制限されるだけで、禁止されませんでした。
それはホルムアルデヒドが建築にとってあまりに使用頻度が高い物質で、住宅着工件数が減るおそれがあったからです。

またシックハウス法では、建物の竣工後にユーザーが持ち込む家具からホルムアルデヒドが発散されることを想定し、原則としてすべての建物に24時間換気設備の設置が義務付けられました。
換気性能と関連付けて、内装仕上げ材の使用量が制限されています。
ホルムアルデヒドの放散量によって、JAS規格とJIS規格によりF☆☆☆☆までの表示が行われています。
問題は無垢材でもF☆☆☆☆と同等に扱われ、本来必要のない24時間換気設備を設置しなければならないことです。
家具業界はF☆☆☆またはF☆☆☆☆の場合に、業界の決めたマークを付すというもので、その比率も必ずしも高くないのが実情です。

アレルギーが多くなったのは、40年ほど前から住宅の気密性が高くなり、カビやダニが繁殖するようになったからと言われています。
厚生労働省によると4200万人以上が喘息やアトピーなど、何らかのアレルギーに悩んでいるといわれています。

もっと恐ろしいのが化学物質過敏症です。
症状がめまいや頭痛、呼吸困難、吐き気、手足のしびれ、頭痛など、体に現れることもあれば、イライラ、集中力低下、物忘れなど、精神面に現れることもあります。
発症のメカニズムは、日常の生活で化学物質が少しずつ体内に蓄積されていったところに、家の建て替えや改修、農薬散布などで、一気に大量の化学物質に触れて突然発症するのです。

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家は家族とくつろぐ場所であり、心身を休める場所です。家に帰るとほっとする。
家に必要なのは、そんな当たり前のことではないでしょうか。