なぜ木造住宅がよいのか

政府が平成19年に行った調査では、仮に今後住宅を建てたり、買ったりする場合、どんな住宅を選びたいと思うか聞いたところ、「木造住宅(昔から日本にある在来工法のもの)」と答えた者の割合が61.6%、「木造住宅(ツーバイフォー工法など在来工法以外のもの)」と答えた者の割合が21.8%、「非木造住宅(鉄筋,鉄骨,コンクリート造りのもの)」と答えた者の割合が14.7%となっています。8割以上が木造住宅の方が良いと考えています。

確かに、法隆寺のような1300年前の木造住宅は例外としても、200年以上前の木造建造物はめずらしくありません。しかし150年ほど前に発明された鉄筋コンクリート造りで100年以上前のものはほとんど残っていません。

建築材料の強さを比重で割った強度では、引っ張り力の比較で杉は鉄の4倍の強さになり、地震のエネルギーは建物の重さに比例しますから、杉は鉄よりも地震に強いといえます。

阪神大震災で倒壊した木造住宅の多くは、いわば手抜きや安普請の住宅です。金物で1点でとめると割れたりして、どうしても揺れに弱くなります。面で支えることが重要です。伝統工法のように木組みでつなぐ場合やツーバイフォー工法のように壁の強度で支える場合には、全体が一体の構造になり揺れにも柔軟に対応します。

火災に対してどうかというと、木材の炭化速度は1分間に0.6~0.8mmです。もし60分間火に耐える家にしたければ、梁や柱の部分を8cm以上にすればよいのです。

開閉タイプのサッシについても、アルミの融点は約660℃ですので、火の勢いですぐに溶けてしまいますが、木のサッシは炭化してすぐには燃えないのです。

鉄骨は、それ自体は燃えないけれど、火事になって熱にさらされると、800度くらいで急に弱くなってグニャッと曲がってしまいます。だから、太い木材でできている建物は、火事になっても鉄骨(てっこつ)より長い時間崩(くず)れ落ちることはありません。

また、火災で1本の柱が燃えても、その部分をとりかえれば、その後も暮らし続けることができます。

ただし、火災で亡くなる人の多くは発生した有毒ガスによるものですから、木造住宅であっても家具や建材に十分な注意が必要です。