ヒノキチオールとは:
ヒノキチオールは七員環という独特の科学構造を有した結晶性物質です。母体となっているのはトロポリンという物質でヒノキチオールはトロポリンにイソピロビル基がついた誘導体です。昭和15年台湾ヒノキ油から抽出されたのでこの名がつきましたが、青森ヒバ油やウエスタンレッドシーダー油から単離されたβ―ツヤプリシンが同一物質であることが確認されました。
天然ヒバ油中にはヒノキチオールが約1%、β―ドラブリンというヒノキチオールと非常によく似た物質が約1%含まれています。β―ドラブリンは水素添加により容易にヒノキチオールに転換できることから、ヒバ油中に両者合わせてヒノキチオールが2%含まれていると言われています。
ヒノキチオールの抗菌活性:
ヒノキチオールには強力な抗菌性があり、カビの発育を阻止します。主に病原性好気性に強い抗菌力を示します。腸チフス菌、大腸菌、赤痢菌、コレラ菌、黄色ブドウ球菌には5,000から10,000倍、ジフテリア菌には20,000倍で発育を阻止する。通常、抗生物質の治療においては、耐性菌が出現しやすく、このことが治療上の大きな問題の一つになっています。しかしながらヒノキチオールは耐性菌がほとんど無いことが知られています。
臨床適応力としては、結核性及び非結核性膿胸に対して治癒又は好転し、腐臭を押さえ、肺結核症で空洞を有する者に使用して良好な成績を収めました。
また今日では国内の発毛、養毛剤に約40%用いられています。
木材に付着して強度を落とす普及菌等のカビ菌に対しても有効です。通常建材として使われている7種(ヒノキ、スギ、ブナ、米マツ、カラマツ、アカマツ、スプルース)の小口片を置いた培養器の中では、青森ヒバに全く菌が生えず、他の木材には見られない抗菌力を示しました。この活性はヒノキチオールによるもので8000倍に希釈しても有効であることが解かりました。
ヒバ油の防虫、殺虫活性:
ヤマトシロアリを用いて実験したところ、ヒバ油が0.05mlと少ない量で100%致死効果のあるヒバ油は青森ヒバの心材部にあり、辺材部には少ないです。樹齢100年を超える青森ヒバは90%以上が心材です。
シロアリに対する活性、忌避性あるいは摂食阻害による殺蟻性が生じます。またダニ類においても殺虫活性が認められています。
青ヒバ(青森ヒバ)の活用:
ヒノキチオールを多く含む青ヒバは建築用材、特に基礎材としては最高の材料といえます。 また香りのよさから浴槽材、浴室材にも使われます。
また消臭剤として使われているほか、最近では空気清浄機にも使われるようになりました。