生産性は欧州の1/10

一人が1日に生産するコストを比較すると、北欧諸国では1950年ころにはおよそ1.5立方メートル/人日で、日本とそう違いはなかったが、2000年には30立方メートル/人日と大幅に合理化が進んだのに対し、日本ではいまだに3~4立方メートルです。数値だけ見れば10倍の差があります。どうしてこうなってしまったのでしょうか。

欧州の先進国では研究開発を積極的に実施し、林業の機械化を進めてきました。日本では残念ながら技術開発はあまり進んでいません。なだらかな斜面でしか使えない1台数千万円のするような外国製の高性能林業機械を補助金によって普及させてきましたが、金額ほどには全く生かされていません。オーストリアで最も林業の盛んなシュタイヤーマルク州ではそもそも全林業機械への補助を廃止しています。

日本の急峻な地形では、架線集材に頼らなければならない部分も多くありますが、架線集材の技術者は減少し、高齢化しています。技術者、作業班の育成、技術開発も重要といえます。そもそも林業就業者は林業生産活動の停滞などを反映して、昭和35年と比較すると、1割程度にまで減少し、平成19年には約5万人となっています。しかも、この間に高齢化も進行し、林業就業者の約4分の1が65歳以上の高齢者です。ただし平成15年度から「緑の雇用」事業の推進により年間2000人程度から3000人程度にまで増えています。

林道や作業道の整備がオーストリアでは1ヘクタールあたり約89mとなっているのに対し、日本では17mにすぎないことも生産性の低い理由といえます。
欧州の先進国では、それと共に山林所有者の共同化などの対策を行ってましたが、日本では不在地主が増え続け、生産性の効率化をますます困難にしてきています。