コンクリート建築の住宅での健康寿命は?

平成27年10月5日

森の駅推進協議会 代表幹事 岡本守生
         
 環境問題評論家の船瀬俊介氏に依りますと、
昭和26年施行した「官公庁施設」の建設に関する法律には、
延べ1000平方メートル以上の庁舎は、耐火防災不燃の構造でなければならない、としてコンクリート建設を規定しているとのこと。
「官公庁施設等に関する法律」の第七条にあります。
 準防火地域内で延べ面積が三百平方メートルを超える庁舎
 延べ1000平方メートルを超える庁舎
 は、耐火建築物としなければばらない、
と。これは、後に土建屋総理と呼ばれた田中角栄が議員立法でつくった法律だとのことですから、昭和22年に議員になると間もなく、議員立法を志し、法律に依って利権を囲い込んでゆく得意満面の顔が浮かびます。
政治を企業化して憚らない姿勢は、多額の政治資金を生み、目白御殿になり、若くして幹事長の席を得ることになったのでしょう。
 こうした法律が引きがねになって、昭和34年の日本建築学会での木造禁止決議になって行きました(最近言い訳をしているようですが)。
さらにこの波紋は、大学で木造建築を教えなくなります。
工業高校でも一部しか教えないそうです。
聴くところに依りますと、多くの建築士の中で木造建築の設計が出来るのは50人に1人ぐらいだろうとのことです。
 では、実際にコンクリート建築の家に住んだ方は長生き出来るのでしょうか。
 島根大学の中尾哲也教授(現在は、九州大学大学院教授)等は、この問題に取組み、調査研究をされ平成4年12月に発表されました。
居住者の環境の違い、木造住宅と鉄筋コンクリート住宅における寿命調査です。
先ず、聞きとり調査をすると共に、確証の為に、47府県の日本政府の各種の統計データ―から、木造住宅の全体比率、平均寿命、死亡原因等の解析等を行いました。
対象は、西日本各県の居住者の木造住宅率と女性の平均寿命を調査の結果ですが、
1 木造住宅(多分、旧式の木造住宅では?)の方が、出生率が高く、
2 死亡年齢は、木造住宅(多分、旧式の木造住宅では?)の方が長生きをされている。
との結果が得られています。10歳ぐらい長生きのようです。
次に、死因については、木造率が高いほど、ガンに依る死亡率は減少し、脳血管疾患に依る死亡率が上がっていました。
 横浜の青葉区は、7年前の市町村区別の長寿調査で、男性の長寿No1に輝きました。
No2が隣接の川崎市麻生区でした。
何故に、そのようになったのか判然としませんでしたが、中尾教授のレポートに接し、青葉区や麻生区は、田園的な面影を残して、一戸建ての住まいが圧倒的に多いのですが、こうしたことが積み重なって一位・二位に輝くようになったことに気付かされた次第です。
このところ、青葉区でも次第にマンションが増えつつあります。
やがては、世田谷区や大田区のランクに近づくことになるのでしょう。