メルマガ56

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「森の駅発」メルマガ 第56号 ☆彡
=森から生まれたエコ農業 5=
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愛知県知多半島の南知多町の20ヘクタールの有機栽培農場、
農事組合法人「光輪」の奇跡を創始者の熊崎巌さんにお聞きしています
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熊崎さんの畑には、数億年前から地球上に生息している「クマムシ」という微細な生物がいます。
クマのような形をした愛嬌のある「クマムシ」は、化学肥料や農薬を使っている畑では見ることができません。
ですから、ある専門家が、この畑から「クマムシ」を見つけたときはかなり驚いたそうです。
健康な野菜が育つ畑では、様々な微生物や小動物も元気に暮らしています。
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熊崎さん:
「線虫」とは、畑にいる糸状の微細な「害虫」と思われていますが、線虫には大きく分けると2種類あります。
ひとつは自分で生きることのできる「自活線虫」です。
光輪の畑には、この「自活線虫」がたくさんいます。
もう一種類は「植物に寄生する線虫」です。
前者はいい土を作ってくれますが後者は農作物に大きな被害を及ぼします。
そのため、一般的な農地では土壌消毒をします。
しかし消毒をすると悪い線虫である「植物に寄生する線虫」も死にますが、
いい線虫である「自活線虫」も死んでしまいます。

じつは、「自活線虫」が土の中にたくさんいることもいい土になる条件のひとつです。
自活線虫が働いたあと、微生物が働き始めます。
まるで、微生物が働きやすい環境をつくってくれているようです。

自然界にはいいも悪いもありません。
いろいろな生物が土の中にいることが常に土のバランスを整えてくれていると思います。
薬を使うことは、このようにバランスを整えてくれている
いろいろな生物を殺してしまうことになります。
一度バランスが崩れれば、化学肥料や農薬を使わなければ作物は育たなくなりさらにバランスが崩れていきます。
すると、病害虫の数も種類も増え、病気の菌や虫も農薬に負けないくらい強くなり、さらに強い農薬を使わなければならなくなり、ついには不毛の大地
になり砂漠化につながっていきます。
それが、今世界のあちこちで起き始めているようです。

ひとつの北海道の事例があります。
この畑では長年の農薬や化学肥料の使用によって土壌中の微生物が激減し、
病害虫に弱く、腐敗していくようなニンジンが育っていましたが、
私がお教えした通りに実行されてから土が蘇り、健康でおいしい作物が育つようになりました。

畑の力は保存実験からも分かります。
一般に市販されている大根と、「光輪」で育った大根をビンの中に保存しておきます。
一年後、市販の大根は腐ってドロドロになってしまいます。
この大根は、土の微生物環境が悪く、
作物の生命エネルギーが低下していたのでしょう。
一方、光輪の大根は、色もあまり変わらず発酵状態になります。
ふたをあけると漬物のようないい香りがします。
生命エネルギーのある野菜はいい発酵菌が繁殖しやすい環境になり、
腐敗菌を駆逐してしまうんです。

人間の健康には前者より後者のエネルギーがある大根を食べたほうがよいと思いませんか?

健康を作るのは、このように自然の中でバランスがとれた、たくさんの命の輝きがつまった農作物です。■   
(インタビュー:中村いづみ)
=次号につづく=
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ニュースアラカルト
国連食糧農業機関(FAO)は「世界の土壌の約3分の1が劣化傾向にある」と警鐘を鳴らす。
土地がやせれば植物を食べる動物も育ちにくくなり、食料危機は深刻になる。
森林伐採による土の流出や砂漠化はいまも進む。
豊かな土壌を取り戻すには相当の時間が要ることを考えれば、本気で手を打たねばならないだろう。
(日経新聞 春秋2015年7月9日より 一部を抜粋)
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