=材木屋さんに聞く暮らし・快適術その2=
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= 今号のメインストーリーは、前号でご好評をいただきました 増田林業さんのお話です=
◆市民フォーラム開催のお知らせ◆
先日もお知らせさせていただきましたが、3月17日の18時半から
東京おもちゃ美術館長の多田千尋様をお招きして
木とおもちゃなどについてのお話をお聞きします。
好評な滑り出しで席も埋まってきましたので
ご希望の方はお早目にご連絡をお願いいたします。
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風土に根差した匠の技を生かす老舗が、
価格革命に挑戦。さらに
快適な空間づくりにも極意が・・・。その秘訣とは。
100年以上続く職人の技と智慧で、湿気や地震から家を守り
長寿命住宅を
リーズナブルに提供する増田林業さんの
その裏ワザは
天竜川沿いの森林から切り出した木材を
ユーザーまで直ルートに届けること・・・
と前回お伝えしましたが、
その快適暮らし空間の秘訣は
今では非常に珍しくなった自然乾燥と
その乾燥法が育む特別な木の香りにありました。
その香りとは、ほとんどの現代の建築住宅から消え去り
木造住宅からでさえも失われているものだったのです。
以下は、森と人を元気にする研究活動を推進する「森の駅推進協議会」の建築部会、
「元気木の家研究会」のリーダー的存在、
増田林業の増田治郎社長さんのお話です。
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増田社長:
「家の材料になる木材は、すべて自然乾燥させたものです。
天竜川流域で切り出してから燃料ゼロで自然に乾燥させ、
期間は1年程、2年くらいたった木もたくさんあります。
自然乾燥材は、調湿性や強度など木の特性がフルに生かされ。
住む人の健康にも大きく貢献します。
木に秘められた驚くほどの効用は
近年多くの研究者により解き明かされつつあります。
近年の木材乾燥は100℃以上の温度で約1週間で木を乾燥させる
短期高温乾燥法のやり方がほとんどで、
流通している99%の木材はそのようなやり方です。
自然界に存在しない高温度のため、木という生命体細胞にとっては
ダメージを受ける乾燥方法で、その特性から外側に割れは出ないが、
強度に影響する内部破壊されてしまう木も数多く見受けられます。
香りの素となる精油分の変質と流出も起き、
木の香りも自然乾燥に比べて本来の香りではなくなり、
ヒノキはきつい香りとなり、
スギの場合にはむしろ悪臭へと変化してしまいます。
多くの人が本物の木の香りを知らずにいられる事はとても残念な事です。
〔元気木の家研究会ではテスティングサンプルを用意しています〕
自然乾燥ならではの材料のよさが木の香りに象徴されていると思います。
木の生命が生命体細胞として家の中に生かされていますので
研究結果がしめす、健やかな命を育む家が自然に出来上がるのです。
いい乾燥木材を使用することを前提に、自社で設計をします。
自然木の家ですが
構造計算をして耐震力・風圧力は1.5倍を社内基準としてチェックをし、
合板を一切使用せず地震や風に強い木造本来の木組み構造図面に仕上げます。
私どもの天竜川の加工場では、図面を基に「手刻み加工」といって
大工棟梁が1本1本手加工しています、同じ樹種であっても
微妙な個性をもつ木材の性質を見極めるためです。
丸太等3次曲線のものも木の持つ美しさを生かし
自由に加工することができます。
そうして刻まれた構造木材を本社のある、神奈川、東京といった首都圏に
建て地状況に合わせた自社の車両で運び、組立て〔上棟〕をかけます。
住宅だけでなく社寺建築なども基本は同じ手法で手掛けていますが、
一般の家屋も利用目的や家族の構成に合わせた設計図に沿って、
監督指示のもと社寺建築もこなせる、大工の棟梁のみならず、建具屋さんの加工、板金屋さんの技術や、左官屋さんの漆喰壁だとか、瓦職人、銅版職人等々多くの職人たちが、素材が生きるような形の建物を
800棟以上これまで造ってきました。
しかし、この800棟は大きさもデザインも同じものがありません。
けれども、どの建物にも共通する「標準の仕様」というものがあり、
増田林業社長の私とスタッフがプロとして自分の家を造るなら、こう造るを
基準とし,「予算に応じて何でもやります」では無い、
主に譲ってはならない、
耐久性や安全に関する家の仕様です。この事は結果的に性能が高度に安定し
居心地の良い、クレームを生み出さない家造りにつながります。
完成した1棟1棟に造り手が「住んでみたい」と思える家を、
つくりあげるが造り手の基本です。
これまで湿度の高低が大きい日本では、居心地の良い調湿性のある木造の建物が数多く造られてきました。
その技術は年月を経て磨かれ1300年前にはすでに高度の確立を果たし、
30mの高さをこえる、1300年前の木造建築物が現存する程です。
建物造りの技術は経験の積み重ねにより確立されるものであり、
簡単なものではありませんが、そのような歴史ある匠の技を誇れる、
気候風土にあった、木の特性を生かす、現代としては独自の構造体で
永く住み継がれる、住まい手のための住宅づくりを
これからも続けていきたいと思います。
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