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=材木屋さんに聞く暮らし・快適術その1=
~法を整備したら住宅の寿命が短くなった!?~

ヨーロッパの町並みを歩いていますと
歴史ある建物に普通に洗濯物がかかっていたりします。
100年住宅などは、ヨーロッパでは当たり前なのです。
しかし、日本では、30年くらいで建てては壊している!のが現状。
この違いは一体なぜなのでしょう?

その意外な答えを、川崎市中原区の(株)増田林業の増田治郎社長が教えてくれました。

増田林業さんは、元気木の家研究会のリーダー的存在で、
100年以上前から続く老舗の材木屋さんですが、
森で木を育て、切り出し、木材の販売をし、さらに、家の設計や建築までも手掛ける という
非常に珍しいタイプの材木屋さんで、 手がけた木造注文住宅は800棟を超え、
農場直営のレストランのように消費者に直接高品質な木材を安い価格で提供しているのです。

増田社長: 「日本の住宅の寿命が短いのは 住宅政策に翻弄されたということもあると思います。
昭和20年代半ばに建築に関する法が出来てより、
阪神淡路大震災などを経て、より耐震の法も整備され
日本の住宅は良くなっていると、多くの方は思っていると思いますが

逆に、日本の住まい創りの原点である、湿気に対する工夫を忘れ、
その法律の通りにつくってさえいればいいのだという風潮が
より、つくり手側の住宅産業界にできてしまいましたね。
それが、住宅短命化問題の原点の一つではないかとも思います。

現実的に、これだけ法律を整えても、
近年日本の住宅は欧米の半分以下の寿命です。
地震に強い家造りということで、耐震数値を上げる事にとらわれ過ぎ
大手メーカーを中心に木材の耐久性に対する使い方が軽視され、
本来の木の持つ、通風さえしていれば殆ど劣化しない、
優れた特性は、密閉された壁により生かされなくなり
日本の気候風土に合わない、長持ちしない家ができてしまったのではないでしょうか。

また、家が商品となり、合理性優先の家の作り方が多くなり
その結果、木造住宅の多くが、張り合わせた木材、合板を用い
大量の化学物質を含む接着剤を使って張り合わせるため
それによって起こるシックハウスなどの健康問題も、続いています。
これらはつくり手の都合であり、施主が望むことではありません。

一方で、日本には築1300年以上の木造建築もあり
100年以上住めた住宅が日本にはいくらでもあったのです。
それらは、日本各地の町場棟梁方により建築法律が無い時代に建てられました。

地震のみならず耐久性に大きく影響する湿気など
日本の風土や気候に合った家づくりに知恵を絞り
それらはヨーロッパの伝統にも負けない
素晴らしい快適に長く暮らせる住宅を建ててきました。

気候風土の特性にあつた工夫の有る構造や躯体がしっかりしていれば
適切なメンテナンスにより今でもそのような家づくりは可能です。

実際に、私のところでは、家の外廻り壁や屋根下層に空気が流れ、
壁のなかに入り込む水蒸気を屋根頂上で温度差を利用して逃がしています。

耐震数値を上げやすい 合板パネル貼りでは空気が流れにくく、
壁内結露現象を引き起こしやすく、構造体自身の腐朽を招く危険があります。
室内水蒸気の壁内入り込みを防ぐために、長期優良住宅施工指導でも、
ビニールシートで外壁内面を包むように指導していることは
蒸れやすい構造であることを証明していますが、
素材としてビニールシートや接着材等の石油系素材の劣化スピードを考慮すれば、
30年程で解体されている、短命住宅を止めることは出来ません。

化学物質なども使わない思い出と共に長く快適に暮らせる、
健康な家を自然木木造なら作ることができます。
もう一度、住まい手に優しい本来の木の良さがいきた価値有る住まいとは、
何なのか。真剣に考える時ではないでしょうか」(増田治郎社長)。

木の本来の良さを発揮している家こそ
即、快適な暮らしが可能になるということなんですね。
次号では、どのようにして快適な住空間が出来上がるのか
さらに、増田社長にお聞きいたします。

◆木造家屋のメリット◆
室内の湿度や温度の調整、
紫外線を吸収したり
癒しの香りを室内に供給したりなど
人が快適に暮らせるためのメリットを
木は提供してくれる。
環境面でも、植林によって地球上の二酸化炭素の濃度も減らしてくれる。

=つづく=