1 廃屋が美しい家に大変身する魔法 森の駅市民フォーラム十日町ワクワクツアーレポート!その2
=次号予告 市民フォーラム・香り博士の谷田貝光克さんをお招きします。9月13日(金)18:30~21:30(原宿・ベニーレベニーレ)です。 詳細は次号で=
今号は、6月22~23日に新潟県十日町を訪れた市民フォーラムツアー報告の第2弾
十日町の竹所地域の古民家についてです。
竹所地域は過疎の進行で、廃屋になった古民家も目立ち始めていますが、
そこに、突如!カールさんがマジックをかけたかのように
美しい家が次々と出現し始めました。
元は廃屋になっていた民家もカールさんにかかると大変身。
カールさんはベルリン生まれの建築デザイナーですが、日本の古民家を斬新に甦らせ、地元の町起こしにも貢献しています。
以下は、森のアーティスト大森明さんのコメントです!
「カール・ベンクス氏の再生させる古民家は、一般的な農家や旅館いわば"普通の民家"が多い。
その"普通の民家"をカール氏は、日本の伝統文化を愛して尊重しつつ、故郷ドイツ文化を融合させ蘇らせているのが特徴的だ。
自然の木の曲がりを生かした梁、黒光りした柱、玄関の引き戸、板張りの廊下、これらの素材を生かしつつ、
壁を白い漆喰でなく黄色や朱色などでカラーリングしている。
「そう来たかっ!」 と思わず唸ってしまう。
屋根は、藁葺きだけでなくドイツの石葺き屋根の家もあるが、この石葺き屋根が斬新、かつ、妙に日本の古民家や周囲の風景を明るくし、融合しているのが微笑ましい。
竹所地域のカール・ベンクス邸、イエローハウス、ベンガラハウス、
どれも周囲の山村の風景にマッチしている。
山間部の道を歩いてしばらくすると、緑の中に「見えた!」と
心を揺さぶるような存在感を放つ藁葺き屋根の家。
壁の淡いピンクと藁葺き屋根にうっすら生えたコケの緑色がすごく良いバランス。
古い建物と自然が生み出す美しさに感心する。
絵心ある人なら写生したくなる"絵になる景色"だ。
"期間限定のオープンガーデン"を開催するイエローハウスでは、
おいしいコーヒーを飲ませていただいた。
内部は、梁や屋根裏の構造材が大規模で迫力あり、飛騨高山の合掌造りの家のようでもある。
入口横のウッドデッキは2つ折の折たたみ式構造(前方部分を軒下方向に折りたたむ)になっている。冬の大雪対策だ。
冬は雪おろしもするので、軒下付近は1階がすっぽり雪で埋まってしまうくらいのことがあるそうなのだ。
幹線道路はラッセル車両が雪かきしてくれるが、道路から玄関までは自力になる。その苦労は夏場には想像できない。
ベンクス氏の活動は、地域の活性化につながっていることが良くわかった。
そして、カール・ベンクス氏が再生させてきた日本の古民家を見ていると、
日本は豊かな文化を捨て、当面の便利さだけを追求・維持するためにあくせくしているように思えてきた。
"近代化"と経済成長で"便利に豊かに"なったと思っていたが、いま私が住んでいるコンクリート製のマンションや近所の建売住宅は50年後どのように評価されるのだろう。
すばらしい文化としては評価されず、使い捨て文化の反面教師もしくは単なる産業廃棄物として評価されるのではないか。
今住む人の安心・安全・健康を満たして地球環境にもやさしく、将来の第2、第3のカール・ベンクス氏が見て、「再生しよう!」と思うような家をつくるべきではないかと思った。
日本の文化と豊かな自然を次世代に受け継いでいくために」~(大森明)
今の木造住宅の寿命は約25~27年と言われています。
産業廃棄物をたくさん作り出す家づくりから
人と森が元気になって文化遺産になる家づくりにシフトする時代へ!
カールマジックが大きなヒントになりそうです。
森の駅推進協議会では、木の香りがする
住む人を元気にして100年長持ちする家づくりを目指し、
「元気木の家研究会」を立ち上げ、
日々、研鑽に努めております。
今後にご期待ください!