メルマガ15

1 シリーズ「森から生まれる産業」~第4回「山地酪農で牛も人も森も元気になる」
2 森の駅発「富士見高原プロジェクトについて」第2回
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☆彡1 「山地酪農で牛も人も森も元気になる」
岩手県中洞牧場の中洞正さんのお話から第3話です。

7月中旬、岩手県下閉伊郡岩泉町にある中洞牧場を訪れました。
龍泉洞で有名な岩泉町の山の中
標高700~850メートルほどの山地に
約50ヘクタール(野球場のグラウンド50個分)の広さの牧場はあります。

盛岡から車で太平洋に向かって約3時間。
途中、廃校を利用した食堂で
どんぐり粉入ラーメンでランチタイム。
車窓から見える風景は森ばかり。
人工林が目立ちます。
盛岡までの新幹線から見えた北上川流域周辺の水田風景とは、かなり違います。

そんな鬱蒼とした森風景が
中洞牧場では草原のような風景に変わっています。
大雨以外の日は、スニーカーでピクニックも楽しめます。
(すみません。観光地ではありませんでしたが(~_~;))。
でも、可愛い牛にも会えて
そんな楽しい旅行気分も芽生えてしまいます。
お子さん連れのご家族もご一緒でしたが
放牧地を走り回って 牛を撫でたり
難しいはずの乳搾りをあっという間に覚え
牛乳をみんなに振舞う大人顔負けの男の子もいて
空と緑地の間に広がる遊び場で
みんな大はしゃぎでした。

森に覆われた山の姿を草の緑地に変えたのは
中洞牧場の牛たち。
今は、子牛を含む約80頭の牛がいます。
春夏秋冬 凍る冬でも野外で過ごします。
春~秋にかけては、山に自生する野シバや熊笹や木の葉が餌。
雪に閉ざされ草がなくなる晩秋~春先は熟成させた干し草。
その他、搾乳時のごほうびとして、国産の圧片大豆・圧片小麦・ビートパルプなどが少量与えられます。
配合飼料とは無縁の世界です。

牛が原野を食べ尽くした後に残るのは
生命力の強い野芝(のしば)
食べられてもまた生えてきます。
また、牛が嫌いなバラ、アジサイ、針葉樹などは残ります。
結果として、緑地の中に潅木の茂みがポツポツある
美しい牧歌的な風景が生まれます。

ご存知のとおり
日本の国土の3分の2は森林で
そのうち、約4割が人工林ですが、
人工林を元気に育てるためには
下草刈りや間伐などの手入れが必要。
でも、採算が合わないため、行われず、
森は荒れ放題で土砂崩れも頻繁に起こっています。
下草刈りは、とても辛い作業です。
そこで牛を放牧するアイデアが浮上。
中洞牧場では牛がメインですが
森の育成を目的に牛を飼っている団体もあります。
(このメルマガで近い未来にご紹介します)。

中洞さんによると
1ヘクタールに1~2頭の目安で牛を飼うのが
牧草地の現状維持と牛の健康にいいそう。

牛は食べたいときに自由に草を食べますが、
見ていると、糞尿もしたいときに平気で緑地でしています。
これは非常に健康的な生活です。
放牧地のあちこちに糞尿が落ちていても臭いこともありません。
健康なので 糞尿のにおいもほとんどしないようです。
また、すぐに生態系の循環に取り込まれ
分解が始まるようです。
牛の体も清潔です。

800~900kgのホルスタイン種の牛は、
毎日30kgから50kg の糞尿をするそうですが、
一般の畜産業で飼われている牛は、
狭い牛舎で、寝たり起きたりしているので
糞尿まみれで 運動も出来ず 餌もよくないので
臭いもひどくなります。
病気になりやすく 薬に頼ることになります。

中洞牧場のような酪農のやり方を
「山地酪農(やまちらくのう)」と言いますが、
メリットを
中洞さんは次のように取り上げています。

・多大な設備コストはいらない・・・サイロもいらない。(牧草をサイロに入れる作業は重労働でもある)。牛舎や糞尿処理用の機械、施設も不要。
・通常の酪農業でコストの4割を占める餌代も不要・・・餌は自然に生えている草。
・牛も人も元気でのびのび。
・安全で美味しい付加価値のある牛乳やアイスクリームができる。・・・ちなみに、中洞牧場の産物は、六本木にある「中洞牧場ミルクカフェ」(東京都港区六本木7-4-14 050-2018-0111)などで買えます。
・自然まかせ、牛まかせで、過酷な労働からも脱却。
・放牧用地も山林なので入手しやすい。
・社会的に求められ始めた家畜福祉には最初から適っている。

山地酪農の可能性はまだまだあります。
それが林業との連携。
森からの恵みとして
牛も材木も一緒に山の産物にするということです。

また、中洞牧場では、
地元のカメラマンの方がミツバチを飼い始め
蜂蜜の採集にもトライ。
牛が食べ残したバラの木の花から
ミツバチが蜜を集めます。
バラの蜂蜜なんて素敵ですね。
新しい森の恵みが生まれそうです。
山地酪農は
いろいろな夢を見せてくれています。


2 富士見高原プロジェクトについて

前回からご紹介している八ヶ岳富士見高原リゾートは、「森の駅発」と提携し、その活動を応援。
「当リゾートを訪れる多くの方々に、
森を愛し、森を大切に思うようになっていただくことで、
日本の森を元気にすることにお役に立ちたいと考えています」と支配人。

メインプロジェクトは、森の駅発の認証を受けた「青ヒバの会」による
八ケ岳富士見高原別荘地のための別荘設計モデル。
森の動植物たち、森の中の静寂なひととき、美しい星空、南アルプスの眺め……森や自然と身近になれるモデルプランです。

天空の遊覧カートの歌も、森の駅発主導で出来上がりました。
子供からお年寄りまでみんなに森を楽しんでもらいたい。
そんな八ヶ岳富士見高原リゾートの思いを実現したのが、この天空の遊覧カートです。