伝統工法が優れているところ

伝統工法は日本古来の技術による木造建築手法です。木材の接合には釘や金具を使用せず、組み木で接合します。多くの場合、壁は塗り壁です。

ところが、1950年に戦災からの復興で建てられた粗悪なバラック住宅を取り締まるために制定された建築基準法の規定が、伝統工法には合わないものになっていました。
使用する部材の種類や壁の配置・量を規定した仕様規定から、2000年に実施された建築基準の性能規定化によって、やっと法を遵守したうえで伝統工法で家を建てられるようになりました。

在来工法(伝統工法も在来工法と呼ぶ場合もあります)と伝統工法では建て方が異なるし、地震や台風に対する構造耐力の考え方に違いがあります。

在来工法では筋交いや構造用合板を使った耐力壁を重視し、外からの力に対して建物が変形しづらくなるように設計が行われます。木材の接合部は金物で補強するのが一般的です。
伝統工法では木組みや土壁が揺れに対して柔軟に追随しつつ、多少変形したり、土壁が落ちたりしても建物自体が倒壊しないようになっています。在来工法が硬い木組み、伝統工法は柔軟な木組みというイメージです。

また在来工法では変形の少ない寸法安定性の高い集成材が好まれ、高温乾燥の木材も使用されてきました。
一方、伝統工法では自然乾燥や低温乾燥の木材を使用し、かつ年輪により将来の曲がり方を判断したうえで木材を組み合わせていきます。大工の豊富な経験と技量を必要とするのが伝統工法です。

以前は伝統工法でプレカットは難しいといえましたが、低温乾燥の木材を元に、コンピュータの活用とプレカットの段階で一本一本の木の特性を判断できる技術者を配することで、家一軒分に必要な部材を組み木部分までプレカットすることが可能になってきています。

また伝統工法では風の通り道に留意し、換気設備が無くても通気性がよく、結露を発生させません。無垢の木の調湿効果も十分に生かされています。

木の本来の特性を生かし、五感を刺激する家を作るには、伝統工法の方が向いています。