ゴミにならない家

現在、日本の住宅の平均寿命は30年です(平成19年度国土交通白書より滅失住宅の平均築後経過年数データ)。ところが30坪の木造住宅を解体すると40~80トンもの廃材がでるそうです。
これは4人家族の少なくとも24年分に相当します。
国は住宅の分別解体を義務化していますが、新建材を多用した住宅は、接着剤で固められていたり、化学物質を混ぜているために、素材別に分別することが難しく、解体にコストがかかるため、不法投棄が増えているといった現状があります。

かつての日本の家では、接着剤はもとより、釘もほとんど使わず組木で家を建てていました。
解体するときは建物を作るのと反対の手順で、古材は再利用されました。
土壁もほぐして石やゴミを取り除き、乾燥時のひび割れ防止のための「スサ」という繊維を加えて水で練ることで、再び壁の材料となりました。

家を壊す際のゴミの減量のためには、リユース・リサイクル可能な素材で家を作ることが大事ですが、そもそも100年以上長く使える家がのぞましいでしょう。
30年で家を建て替えるということ自体が異常ではないでしょうか。

そのためには、まず耐久性の高い構造と材料を選ぶこと、次に材料ごとの耐用年数が違うので、取替え可能なつくりにして、手入れをしやすくすることが必要です。
建物をスケルトン(構造)とインフィル(内装・設備・間取り)に分けることで、構造に耐久性を持たせながら、室内の間取りを可変的にする考え方をスケルトン・インフィルといいます。
昔の家も、柱や梁などの骨組みを残しつつ、壁や屋根などを何度も補修しながら住み継いでいたのですから、スケルトン・インフィルだったのです。

住宅は莫大な廃棄物につながるのですから、循環型社会を実現していくために、住み継がれる家作りの考え方は欠かせないものです。