長持ちしない家とは

木造住宅だからといて、すべてが長持ちするわけではありません。木は腐るとダメになります。シロアリも大敵です。

まず日本の高温多湿な気候に合わない木材はそもそも使用すべきではありません。木材腐朽菌のいないヨーロッパのトウヒ(日本ではホワイトウッドと呼ぶ)が多用されてきましたが、ジメジメした日本の環境下では容易に腐ります。北米から輸入されるSPF材(トウヒ属のスプルース、マツ属のパイン、モミ属のファー頭文字をとった輸入建築材)やヘムロック(米ツガ)、米マツも同様です。

次に留意すべきは結露を防ぐようになっているかどうかです。高気密、高断熱でさえあれば安心かのように思われがちですが、外との温度差ができるということは、冷えたジュース缶の表面が汗をかくように室内に水滴がつきます。
高断熱と結露しないことの両立は極めて難しいのです。 最近、内断熱か外断熱かということが話題になりますが、それだけで解決するようなものではありません。
結露した場所にはカビがはえ、木を腐らせる腐朽菌が繁殖します。24時間換気を行うことは結露の防止に役立ちますが、少しでも空気のよどむ場所があるとそこで水蒸気が結露します。
家具や冷蔵庫を動かした後の壁が黒ずんでいるといった経験があるかと思いますが、これは結露に発生したカビです。
地震の多い日本では、どんなに張り詰めたビニールの壁もすき間ができてしまいます。
壁の中に通気が無いと水蒸気は通り道で結露し、カビを繁殖させ、木材を腐らせていきます。
ベニヤ板もよく使われますが、これは熱帯林やシベリヤの針葉樹の木材などを大根のかつらのように薄くむき、縦横直角に接着剤で張り合わせたものですが、この接着剤が水分に弱いことが多く、長く湿気にさらされると張り合わせた板がはずれ、ボロボロ、バラバラになってしまうのです。

シロアリの被害も心配です。
シロアリに食べられやすい材と、食べられない材があります。
湿度が高いと食べられやすくなります。
最も食べられにくいのは青森ヒバの心材です。
抗菌性の高いヒノキチオールが多く含まれているからです。
ヒノキも食べられにくいですが、外材の米ツガやシベリアカラマツなどは食べられやすい材です。
国産材でもクロマツやスギはヒノキに比べられると食べられやすい材です。
一番下の土台の木材にはシロアリ処理が行われることが多いですが、普通のシロアリ処理では農薬やCCA(鉛・砒素・銅)のような人体に極めて有害な薬が使われているので、その意味でも要注意です。
通気性を良くし、かつシロアリに食べられにくい材を使うか、健康に害のないシロアリ処理を施すことが必要です。

高温乾燥や乾燥不足の木材を使用していないかどうかも重要です。
同じ木材でも自然乾燥または低温乾燥した木材と比べて粘りがありません。
弱い木材です。
油分が乾燥の際に飛んでしまうのでいい香りもしません。
木材の重要な利点である調湿機能も低下します。
乾燥不足の木材を使用すると、建築後に自然乾燥することになりますが、その間に縮みすき間がたくさんできることになります。
接合部のボルトで締めた部分もゆるみ、強度が落ち、地震で崩れかねません。