2008年度に新築・増築・改築を行った建築物の床面積のうち木造のものの割合は、建築物全体では36%であるのに対して、公共建築物では7.5%にとどまっています。
これは、1950年に公布された建築基準法で、高さ13mまたは軒高9mを超える建築物は主要構造部を木造としてはならないという強い規制がかけられたからです。
背景としては戦後復興期の大量伐採による森林資源の枯渇や国土の荒廃が懸念されたこと、火災に強いまちづくりに向けて耐火性に優れた建築物への要請が強まったことにあります。
その後、1987年の建築基準法の改正以降、規制は徐々に緩和されてきました。
2000年には「性能規定」の導入により、一定の性能を満たせば、木材の利用が可能になりました。
しかし、木造による公共建築物の割合は依然として低いままでした。
2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が成立し、10月から施行され、過去の「非木造化」の考え方を「可能な限り木造化・木質化を図る」考え方に大きく転換しました。スキーム
暖房には木質ペレット等の燃料利用が望まれます。
文部科学省では1985年から学校施設の木造化や内装の木質化をすすめており、2009年度に建設された公立学校施設の12%が木造で整備され、非木造の施設の52%で内装木質化が行われています。
学校施設は、児童・生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場であり、学校施設に木材を利用することは、木材の持つやわらかさ、あたたかさ、高い調湿性等の特性により、潤いのある学習や生活環境を実現する上で大きな効果が期待できます。
木材利用にはじめて取り組む自治体からは、具体的な進め方が分からないとの声がよく聞かれます。
推進するにあたっての注意点を列挙します。
1.耐火・耐震性のある部材を使用すること、健康に害のある加工品(子供たちのアレルギーの原因になるような)を使用しないこと。
2.建築コスト削減のためには、一般に流通する部材で建築できる規模・構造による設計を行うこと(他の工法より必ずしも高いとは限らない)。
3.木材の特質をよく理解した設計者に依頼し、鉄骨を単純に木材に置き換えるような設計を行わないこと。
4.地元の木材を使用するには、乾燥の期間を配慮し、1年以上前に発注すること。
5.継続的な維持管理により、劣化の抑制や部材の交換を行うが必要であることを理解し、適切な予算措置を行うこと。