実用可能なバイオエタノール

最も単純な木質バイオマスの利用は、木粉チップ等を直接燃焼して、熱、機械、電気的エネルギーとすることです。一方、低コストでバイオエタノールが生産可能であれば、低環境負荷のバイオエネルギーとして利用できるだけではなく、脱石油の化学品原材料として有効利用できます。

当初は食用品がバイオエタノールのリソースの中心でした。これは、糖質やでんぷんを多く含む食用品は比較的簡単にエタノールに変換ができるという理由からでした。その後、食品としては利用価値の低い、古米、ヤシの廃材等が注目されて来ました。しかしこの方法では、糖化し難いセルロース・リグニンを主成分とする廃棄物が大量に発生し、反って深刻な環境問題を生じます。

最近では、廃木材や間伐材からバイオエタノールを生産する試みも盛んに行なわれるようになってきています。硫酸法、希硫酸法、ナノ分散法等のバイオ法や、直接分解する物理的方法が検討されています。

木材が有効に糖化・発酵され、バイオエタノールが生産されれば、間伐材の有効利用が促進され、里山が生産性を回復し、光合成が促進され、吸熱反応で空気が冷却され、CO2が固定され、地球環境の改善にも大きく貢献します。

現在各方面の多くのグループが、ひたすらバイオエタノール生産効率を高め、廃棄物を少しでも減少させ、コストを下げる事に注力していますが、硫酸を含む廃液の問題、リグニンが酸で劣化して有効活用できない、ナノ分散法はコスト負荷が大きい、などの難問が未解決です。

「森の駅発」では、
(1) 硫酸法に見られるような、酸やアルカリ等の化学薬品を使用しません。
(2) ナノ分散法のように、コストアップになるハイテクを使用しません。
(3) 全ての素材を有効利用することで、コストを薄めます。
(4) 廃棄物を、極小に留めます(排水等を放置すると、反って環境を汚す原因となり、最終的にコストアップになります)。
こういったことによって、バイオエタノールを実用可能なバイオエネルギーとすることをめざしています。